しばらく静(しず)かな時(とき)がつづき
ましたが、ようやくリボンが口を開きました。
「たぬきさん、あなたはペペロなの?私を
あたためててくれた家だったの?」
「はい、そうです・・・ごめんなさい、だますつもり
じゃあなかったんですが、あなたがあまりにも
つらそうに雨の中を跳ねてこられたものだから・・・」
たぬきの体はびっしょりぬれています。
「ありがとう。お父さんとお母さんもわたしを
守(まも)ろうと戦ってくれたわ、あなたと
同(おな)じように。でもそのときと違(ちが)う
ことがひとつあるの。それはあなたが生きて
るってこと。うれしい、うれしいわとっても!」
リボンはペペロの胸(むね)に飛び込(とびこ)
み、ワンワン泣きました。
月明(つきあ)かりのきれいな夜(よる)、
山の中にはときどき茶色い屋根の小さな
家がたっていることがあります。その中を
のぞくと、かわいいうさぎが幸せそうな顔を
して、すやすやと眠(ねむ)っているそうです。