次へ

今度(こんど)は家のほうがおどろきました。
「え!ではあなたのような小(ちい)さい
お子(こ)さんがたったおひとりで暮(く)らして
いるのですか?」

「そうよ」
「それはそれは、それではさぞかしたいへんな
毎日(まいにち)を送(おく)られているのでしょう」

「そうでもないわ。山にはおいしい木の実(きのみ)
もたくさんあるしね」

  うさぎはこう答(こた)えましたが、どこかさみし
そうな目をしています。家はあわててちがうはな
しをしようとしました。

「そうだ、まだ自己紹介(じこしょうかい)していま
せんでしたね。私(わたし)の名前(なまえ)は
ペペロです。どうぞよろしくお願(ねが)いします」

「わたしはリボンっていいます。こちらこそよろし
くね」
「リボンさんですかあ、いいお名前だ!」
  リボンの体はすっかりかわき、長い耳が
ふたたびピョンと立ちました。はげしい雨が
ようやくやむころには、ペペロとリボンは
すっかり友達(ともだち)になり、色々(いろいろ)
な話しに夢中(むちゅう)になっていました。

「おや、雨があがったみたいですよ」
「ほんとだわ、だいぶ暗(くら)くなってきた
みたいだし、そろそろ帰(かえ)らなくちゃ。
ねえまた遊(あそ)びにきてもいいかしら?」

  ペペロはとまどいました。いまさら
本当(ほんとう)はたぬきだったとも言えないし、
かといって次(つぎ)にリボンちゃんがここを
おとずれたときにはもうこの家はないだろうし・・・