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「フフフフ、それはね、ぼくが生(い)きているから
ですよ。うさぎさん、あなたがお母(かあ)さんの
おなかの中にいたときのことを覚(おぼ)えていま
すか」

「ううん、忘(わす)れちゃったわ」
  うさぎは少(すこ)し考えてから言いました。
「そうですかあ。お母さんのおなかの中にだって
ストーブはない、そのことは知(し)ってますよね。
でもそこはとてもあたたかかったはずですよ。
それといっしょであなたは今、家というぼくの
おなかの中にいるんです。おなかの赤(あか)
ちゃんが大切(たいせつ)だというのと同(おな)じ
で、ぼくにとってあなたは大切なお客(きゃく)さん
です。そのお客さんのために部屋をあたたかくする
のはとうぜんですよ」
うさぎの目(め)がかがやきました。
「そっかあ!最初(さいしょ)にここに入れて
もらったとき、どこかで味わったことのある
気持ち(きもち)とおんなじものを感(かん)じ
たの。んー、なんていうかすごく安心していら
れるっていうか。それってお母さんのおなかに
いるときのものだったのね!」

「そうですそうです。思い出(おもいだ)してくれ
ましたか。そういえばあなたはおひとりのようです
が、今ごろおうちではお父(とう)さんとお母さんが
あなたのことを心配なさっているかもしれません
ねえ」

「だいじょうぶよ・・・お父さんもお母さんもいない
もの・・・」