「そうだ、いいことを考(かんが)えついたぞ!」
こう言うなりペペロはエイッと
宙返り(ちゅうがえり)をしました。するとそこには
ペペロのすがたはなく、かわりに茶色い
屋根(やね)の小(ちい)さな家がポツンと
たっていました。
ピョンピョンピョン。まもなくうさぎはこの家の
前(まえ)にさしかかると、ピタッとたちどまり
中(なか)のようすをうかがってから、トントンと
ドアをノックしました。
「すみません、だれかいませんかあ?もしいたら
雨がやむまで中に入れてもらえないでしょうか」
うさぎは声(こえ)をかけてみました。
「おやおやそれはたいへんですねえ。どうぞ
お入(はい)りください」
中から返事(へんじ)があり、ドアがギーッと
開(ひら)きました。しかしそこにはだれもいません。
うさぎはおやっと思い、中をのぞいてみました。
「あら、だれもいないわ。いったいだれが返事を
してくれたのかしら」「ようこそいらっしゃいました」
うさぎははっとしました。だれもいないのに、家の
どこからか声がしたからです。