先程(さきほど)からはげしい雨(あめ)が
ふりはじめ、たぬきのペペロは頭(あたま)を
かかえながら、山(やま)の中(なか)を
走(はし)っていました。
「ひー冷(つめ)たい。こりゃあびしょびしょだあ」
体(からだ)をおおう茶色(ちゃいろ)いふさ
ふさの毛(け)が水(みず)を吸い込み(すいこみ)、
思(おも)うようにはやく走れません。それでも
しばらくはがんばって走っていましたが、とうとう
トロトロと歩(ある)きだしてしまいました。
「ああなんてこったあ、家(いえ)はまだまだ
遠(とお)くだっていうのに」
ピョンピョンピョン。ペペロがぶつぶついい
ながら歩いていると、むこうのほうからだれかが
とびはねてくる音(おと)が聞(き)こえてきました。
雨のせいではっきりとはみえませんが、どうやら
うさぎのようです。雨にあたった長(なが)い
耳(みみ)はペロンとたれています。すがたが
はっきりしてくると、それはまだこどものうさぎで、
体がブルブルと震(ふる)えているのもわかり
ました。ペペロは気の毒(きのどく)になり
なんとかしてあげたいと思(おも)いました。