あと一週間でおばあちゃんが引っ越して来るという日の朝、お父さんとお母さんは、おばあちゃんちの荷物をうちへ運ぶ手伝いをしにでかけました。知香もひまだったら手伝うようにと言われましたが、行きたくなかったので、てきとうに理由をつけてことわりました。お父さんやお母さんも知香とおばあちゃんが、あまりうまくいっていないことを知っていたので、
「いいからいっしょに来なさいよ」
  と、二人をもっと触れさせようと考えましたが、やっぱりだめでした。
  親に連れられて、何度かおばあちゃんの家へ行ったことがありますが、そのたびに知香はイライラしていました。そんなとき、おばあちゃんは知香の気持ちに気づいたのか、
「知香ちゃんつまらない思いさせちゃってごめんね、今日はありがとう」
  と、少しさびしげに、しかしすごく心のこもったお礼を言いました。知香もそんなときはちょっと悪かったかなと感じましたが、
「しょうがないじゃん、おばあちゃんと私は合わないだもん」と自分に言い聞かせました。 
  知香の家で、おばあちゃんが一緒に住むことになりました。十年前におじいちゃんが亡くなり、それ以来おばあちゃんはずっと一人暮らしでした。
「これで寂しい思いしなくてすむね」
  お父さんや、お母さんは喜んでいます。でも、知香の気持ちはちがいました。古くさくて、動きがにぶくて、それにおせっかいやきで・・・
おばあちゃんと智香

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