「みんなを笑わせてあげるのはとても楽しいや」
笑いキノコ君はニコニコしながら歩いていました。
するとむこうのほうでまただれか泣いています。
しかもこんどは、ひとりではなく、おおぜいのようです。
笑いキノコ君はいそいでそちらへむかいました。
シクシク
シクシク
みんな黒いふくをきています。どうやらだれか、
なくなってしまったようです。
「ともこや、もどってきておくれ、シクシク、シクシク」
おじいさんが大つぶのなみだをこぼしながら、
おいてあるしゃしんにむかってはなしかけています。
しゃしんには十さいくらいの女の子がうつっています。
泣いている人を笑わせてあげるのが大好きな笑い
キノコ君、こんかいもまたみんなを笑わせてあげようと、
うたいながらみんなの前でおどりだしました。
これを見て、ものすごくおこったのがおじいさん、
「わしのかわいいかわいいまごが死んだという
のに、なんというやつじゃ!」
おじいさんは笑いキノコ君をつかまえ、なべに
入れて食べてしまったのです!
「うむ、これはうまい!ともこにもいちど食べさせて
やりたかったのう」
やがておじいさんはおなかいっぱいになりました。
すると今まで泣いたりおこったりしていたかおが、
しだいにゆるまり、やがてニコッとすてきなえがおに
なりました。
「ふしぎじゃ、さきほどまでのイライラがうその
ようじゃ。おまけになんだか力もわいてきた
みたいじゃぞ」
まごをなくし、すっかりげんきをなくしていたおじい
さん、しかし笑いキノコ君を食べたおかげで、生きる
げんきがふたたびもどってきたようです。