家に帰ると、いつもこの時間はパートでいない
はずのお母さんが帰っていた。そしておじい
ちゃんが今日の午前、病院で亡くなったことを
知った。もちろんそんなことはやとが信じる
はずはない。だってさっきまで一緒にいたの
だから!
「はやと、これからおじいちゃんちに行くから
したくしなさい」
お母さんが言った。おじいちゃんが死ぬなんて
そんなことあるものか!
はやとは玄関のバケツを持ち上げると水場へ
走り、じゃぶじゃぶバケツとカメを洗った。
信じてないのに目からあふれる涙が止まらない。
にじむ目できれいな水の中のカメを見た。優しい
目をしてる。おじいちゃんの目だ!
「はやと、おまえが孫でよかったよ」
そしてカメはほほえんだ。