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信号を渡ってペダルを思い切りこぎ、毎日通う
小学校の前を通り過ぎる。もうすぐ待ち合わせ
場所の商店街だ。

「あれ?」
  はやとは急ブレーキをかけた。タイヤがズズズズ
とすべる。
「おじいちゃんだ」

  前からつえをついてとぼとぼと歩いてくるのは
確かにはやとのおじいちゃんだ。

「おじいちゃーん!」
  右手をふりながらペダルをこぐ。おじいちゃんも
気づいたようだ。その場に立ち止まり、ニコニコして
いる。

「おじいちゃん体平気なの?」
  はやとは心配そうにたずねた。おじいちゃんは
去年の秋ころから体調を崩し、それ以来ずっと
入院していたのだ。

「ああ、平気だよ。はやとは相変わらず元気だ
なあ。これから遊びにいくのかい?」

「うん、でも今日はやめる。早くうちにいこうよ!」
  大好きなおじいちゃんに会えて胸がはずむ。
「そりゃあいかん。知らないで待たされている
友達の身にもならないと」

「そっか。じゃあここで待っててよ。すぐに戻って
くるから!」