おしまい
はるちゃんとお母さんが美術館の中へ入ると、た
くさんの人たちがにこにこして出迎えてくれたよ。
「何歳なの?」
えくぼのかわいいお姉さんがたずたの。
「今日で五歳です」
「今日お誕生日なの?おめでとう!」
はるちゃんにすてきな笑顔が戻ったよ!それからゆっく
りと美術館をまわり、誕生日プレゼントにと絵本ももらっ
たんだよ。よかったね、はるちゃん。
外では帰りの道案内役、お月さんが優しく二人を待って
いたよ。
シューと入り口の自動ドアが開いて美術館の人が
出てきたの。お母さんが、
「すみません、ちょっと美術館の周りだけでも見学
させてもらえませんか」って言ったんだけど、はる
ちゃんは泥棒と間違われたらどうしようってドキドキ。
「いえいえ、せっかく来ていただいたのに外側だけな
んて。さあさあ中へお入りください」
「でも五時を過ぎてしまいましたよ」
「かまいませんよ!」
美術館の人は笑顔で答えると、はるちゃんに話し
かけたのね。
「お名前は?」
「春菜です」
「いい名前!来てくれてありがとうね」