「お母さん、次の信号を左だって!」
はるちゃんは元気に歩きだしたの。その横を次々と
人が追い抜いていったのね。遠くから四時を知らせる
鐘の音が聞こえたよ。お母さんは不安になったのね。
どうしてかというと、美術館は五時で閉まってしまう
からなの。間に合うかしら…二人三脚で一歩一歩進ん
でようやく橋にたどり着いたよ。
太陽が教えてくれたとおり、さらさらと流れる川で
は、楽しそうに一羽のかもがスーイスイ。はるちゃん
は大きな声で叫んだの。
「ねえ、かもさーん。わたしたち美術館へ行きたいん
だけど、どう行ったらいいのお?」
お母さんはびっくり!今日のこの子はいったいどう
しちゃったのかしらと心配顔。かもはグアッグアッと
鳴き、ゆっくりと泳いで来たかと思うと、バサバサと
飛び立ち、スタッと二人の前に着地したのね。
「案内してやるからついてこいだって」
はるちゃんはうれしそう。でもお母さんはこんなこ
とってあるのかしらと、目を何度もぱちくり。
「お母さん、わたしたちかるがも親子みたいだね!」