2008年2月23日(土)
上にある冬コミで頒布した小説のダウンロードは、2月29日で終了します。
読みたいという酔狂な方は、お早めにお願いいたします。




ストーンズも超える値段Navelライブ続きー。



女帝:「あたりまえじゃない。残りの声優だけで5万出せると思ってんの?
私がいるからこそ、この値段でやれんでしょうが

社員:「「…………」」

女帝:「むしろ私を見に来ると言っても過言じゃないわ」

社員B:(おい!誰か止めろ!)

社員A:(止められたらこんなに社員抜けてませんよ!

女帝:「あと、そこの」

社員A:「ぼ、僕ですか? 去年入社しt」

女帝:「あーそれはどうでもいいや」

社員A:「スルー! 圧倒的スルー!」

女帝:「さっきN又さんって呼んだべ?
私を呼ぶときはセ・ン・セ・イ社則にも書いてあんだろ?

社員B:「なんで社則に書き込める権限持ってんだよ!」

女帝:「あ?」

社員:「「いえっさーN又センセイ」」

女帝:「ちっ。じゃ、5万で決定ね。もちろん消費税入れて。
あれ、消費税って10%だっけ?」

社員A:「時代を先取りしすぎですセンセイ!
それと、ちょっと待ってください!! どう考えたってマズイですよ!」

女帝:「何が?」

社員A:「いくらなんでも、全員5万はないっすよ!」

女帝:「あたしの顔とボディに5万払えよ。安いもんだべ?」

社員A:「いい加減に……」

社員B:「まあ待て(社員Aの血が出んばかりに握られた拳を押さえる)
センセイ、確かにセンセイのご尊顔を見られるのなら、Zeppは埋まります」

女帝:「わかってんじゃん」

社員B:「しかし、しかしですよ。残念ながらZeppは広い。
ステージからの距離が離れてしまう信者もいるんです」

女帝:「それがどうしたよ」

社員B:「前列は、センセイが見られて至福を味わえるでしょう。
だけど、後列になってしまい、センセイが見られかったら、そいつはどう思いますか?」

女帝:「気合いでなんとかしなよ。むしろサバンナで視力鍛えてこい」

社員B:「……もし、もしですよ。
『ああ、センセイが見られないんだったら行くのやめようかな』
なんてことになったらどうしますか?」

女帝:「!! ふざけるな!! 氏ね! そのまま氏ね!!」

社員B:「センセイを慕っていなければ、5万という一般のライブの10倍近い値段は
出せないということですよ。センセイが見えなければ、意味がないんです。
ただでさえ前回のライブで、場所によって見えない位置があることを知られてしまった。
そうなる可能性は、決してゼロじゃないってことです」

女帝:「……何が言いたい?」

社員B:「プレミア化しましょう

女帝・社員A:「プレミア化?」

社員B:「全員を5万で固定させるのではなく、センセイのスバラシイ(なぜかカタカナ)
お身体が確実に見える位置……つまり、最前列のみに絞るんです」

女帝:「バカな! そんなことをしたら金が! 私 の 金 が!」

社員A:(ギャラ本当に払わないつもりなんじゃ……)

社員B:「試すんですよ……奴らを」

女帝:「なに?」

社員B:「5万払うやつ……一生センセイについていく真の信者……
それを見極めるんです」

社員A:「ど、どうやって?」

社員B:「まず、5万チケットはチケット会社を使わない

社員A:「!!」

社員B:「全部、うちでやるんですよ……
うちの内部に、格好の場所があるじゃないですか」

女帝:「……Navel Mobile……携帯サイトか

社員B:「さすがはセンセイ、聡明でいらっしゃる。
会員の中から選りすぐったエリートにだけ、5万チケットを売るんです」

女帝:「真の信者か……おもしろい」

社員B:「金額だけでなく、ハードルを上げる。
ここまでしないと、チケット一枚とれないのか……と思わせる。
俺が、いや俺がの信者精神が働きます。
それだけじゃない。もう一つの効果が見込める」

社員A:「な、なんですか?」

社員B:「……センセイ。センセイの商才を存じ上げた上で、あえて聞きます。
物を販売するのに、一番大切で、必要なのは何ですか?」

女帝:「知れたこと……宣伝だ……あっ!!」

社員B:「その通りです。これだけのネタを作れば、食いついてきますよ……
無料で宣伝をしてくれる、ニュースサイト部隊が」

女帝:「無料……無料……無料……! じゅるり」

社員B:「広告会社にみすみす金をくれてやる必要はない。
大事なことは、この一時だけ儲けることではありません。
つかず、離れずの搾取……これぞ永久機関……!!」

女帝:「…………」

社員B:「今、全員から5万を搾り取ろうとすれば……!
資金力に絶対の制限がある奴らはそこで……!!」

女帝:「…………わかったよ」

社員B:「せ、センセイ!」

女帝:「おまえの案、くんでやる。
席によっての差別化……考えてみれば、当たり前のことだ」

社員B:「ありがとうございます!」

女帝:「やってみろ。
そして今、私もいいことを考えた」

社員A:「そ、それは……?」

女帝:「私自ら5万チケットの特典を考えてやる。
せっかくだ。もっともっとプレミアをあおって、損はあるまい」

社員B:「え……それは」

女帝:「いいっていいって。忙しすぎてマウスも持ちたくないけど、
これくらいはやってあげるよ。私ってやさしー☆」

社員B:「ちょ、センセイ!」

女帝:「ああっとタイムアップ! 今日も○○○に繰り出して
理想のオトコを見つけなくっちゃ♪ じゃ、まったねー☆
あ、そうだ、おまえ」

社員A:「は、はい」

女帝:「私のデスクのあれ、塗っといて。じゃ♪」

社員A:「ちょ! 俺グラフィック担当じゃない!
そもそもあれは自分で……行っちゃった」

社員B:「…………」

社員A:「それにしてもすごいっすね。納得させちゃうなんて。
さすがはBさん!よくわかって……?」

社員B:「……くっ…………」


はらり


社員A:「!! これは……円形に……!!」

社員B:「スマン、俺には……ここまでが……限界だ……!!」

社員A:「Bさん!? Bさああああああああああん!!!」





こうして、専用サイトにて告知はなされた。
社員Bの命を賭した説得により、彼のほぼ思うとおりに事は進んだ。

殺到する応募。膨れあがるモバイルサイトの会員。
信者の証を示すため、我先にと殺到した。

男だけでなく、腐女子も網羅した声優のラインナップ。
だが、応募してくる者は、全て男性に限られた。

理由は、ただひとつ。
通常行き慣れているイベントでは、決して見ることのできない雲の上の存在。

「AOIちゃんに、逢えるかもしれない」

その一点が、携帯へと指を走らせる。
期待が憶測を超え、真実味を帯びていく。

「有料会員の方が当たりやすい」
そんな噂がまことしやかに流れ、切り替える兵士が後を絶たなかった。

当選状況の把握は、困難を極めた。
各種サイト、該当スレ、mixi……
どこを見ても、当選報告はあがらなかった。

そう。思惑通り、『真の信者』へと、チケットは委ねられたのだ。




そして、運命の日は、訪れる。




―――――――――――――――――――――――――――――




エリートA:「ついに……ついに来たのだ、この刻が」

エリートB:「ああ、ついに葵ちゃんとのご対面が……あおうっ」

エリートC:「まだ出すのは早いぜ。サイン入りテレカ、特典チケット、
そして……笑顔……!!」

エリートD:「ああ、笑顔笑顔。これが大事よねー☆」

エリートA:「(きめぇ)それはそうと、チケットの引き渡しだが……どこでやるんだ?」

エリートC:「ああ、一刻も早く席について、リウム等、N又様をお迎えする準備を
整えなければならぬというに」


社員Z:「5まn……プレミアチケットご当選の信j……方々は、
どうぞこちらまでお越しくださーい」


エリートB:「きたあああああああ!おうふっ」

エリートD:「早い、早いよス(ry 」

エリートA:「いくぞ、者ども!!」

エリートたち:「「「「おう!!!」」」


ホールの裏口より通され、通常より長い道のりをひた歩かされる面々。
やがてたどり着いたのは、控え室のような一室だった。


エリートC:「なんだ、ここは?
ま、まさか!! 一般ライブでいうバックステージ!!」

エリートB:「まさか! ここで早くもご対面というわけか!?
さすがはプレミア!! 僕は! 僕はもう……ビクンビクン」

社員Z:「はいはい、おまたせー」

エリートA:「なんだ、違うじゃねーか」

社員Z:「遅くなってごめんねー。今からチケットを渡しまーす。
じゃ、身分証と、当選のメールを見せてもらえるかな?」

エリートたち:「「「「…………」」」」

社員Z:「(さすがだ……壁紙がセンセイ……だが、見つかったら金取られるぞ)
はーいありがとー。じゃあ、まずはこの書類に目を通してもらえるかな?」


エリートたち:「「「「書類?」」」」


通常のライブではありえない言葉に、選ばれし者と言えども驚きは隠せない。
これもサプライズの一環だろうか。
正体を見極めようと、揃って書類上の文字に目を伏せる。


そこに、書いてあったものは。



「このライブでケガしたり、もし死んじゃったりしても

私(N又)たちには何の責任もないってゆーことを、

プラチナチケット組一同、命がけで証明しちゃいます☆

全部 じ・こ・せ・き・に・ん♪」




   。 。        。 。       。 。        。 。    
  / / ポーン!   / / ポーン!  / / ポーン!   / / ポーン!
( Д )       ( Д )       ( Д )       ( Д )







2008年2月20日(水)
日本ライブチケット最高額は僕らのNavelに決まりました>挨拶




523 :名無したちの午後:2008/02/18(月) 20:59:25

プレミアムシート 価格 \52,500

ふーん、5,250かー
声優のライブなんてせいぜい3,000円ぐらいだから
最前列で5,250ならまだわからんでもな――

¥ 5 2 , 5 0 0

   。 。
  / / ポーン!
( Д )



そうなるよな!誰でもそうなるよな!



5万て!以前Circus(今回に限り正式名称で呼ばせていただきます。
悪徳ランキング的な意味で)がSAKURA祭とかいうのをやったときも
その金額>>>発表内容に呆れたもんでしたが、
そこは音楽に関してはなぜかいいものを作りやがるこだわりのあるtororo氏。
終わってみればなかなかのクオリティとなっておりました。
残念ながらゲームは関連商品も続編も出ていない時点で
お察しください的な実績になったようでしたが。
おもしろくなかったなーアレ(買ってんじゃねーか)


しかし、今回のライブは次元が違う。
具体的に言うとケタが違う(主に人道と相場的な意味で)
まあ大義名分として考えられるのが
「どうせオクでプレミアつくんなら自分たちでプレミアつけて
私 の 懐に入れちゃえっ☆

ということでしょうが。
大義名分でコレかよという反論は却下します。
さすが御大!そのまま懐に入れたら余裕で査察が入ると思うんだけど
そこは会計士を社員の20倍くらいのアレで依頼すれば解決ですね☆

一般のライブのチケットもスタンディングで7500円となかなかの破格値。
ちなみに、同じ会場で行う一流アーティストのポルノグラフィティで7000円
人数多いからしょうがねーだろという言い分には
PUFFY/mihimaru GT/絢香/JtoSの7名で5800円となっております♪
わー全曲生バンドでやってくれるってことですねーすごーい(棒読み)



社員B:「今度のライブの値段、いくらにする?」

社員A:「うーん……まあ9人も声優呼ぶからなあ……
6000円くらいとってもいいんじゃねえかな?」

社員B:「そっすね。最近このくらいの値段の声優系ライブも多くなりましたからね。
リハとかで貴重な時間を割いてもらうわけですし、
ここは少しでも、出演者に多めに差し上げるということで……」


「5万」


「「はい?」」

女帝:「聞こえなかった?5万よ。わかりやすく言えばゲー万ね」

社員A:「誰がわかるんだよ!今時芸能人だってそんな数え方しねーよ!」

社員B:「とんねるず世代丸出しじゃねーっすか!いくつだあんた!」

女帝:「うるっさいわねえ。あんたらライブ終わったらクビね。
まあそれはともかくととして」

社員A:「さらっと人の人生終わらせんなよ!」

社員B:「落ち着いてください!たぶんいつもの口癖です。
今はライブのことをなんとかしましょう」

社員A:「そ、そうだな……しかし5万って……冗談ですよね?」

女帝:「Zepp Tokyoのキャパが2700人だから……
5万×2700で……あっ、いっけなーい。私ったら消費税忘れちゃった☆
52500円が2700人で……


52500×2700=141750000


やーん8桁のちっちゃい電卓じゃ計算できなーい♪」

社員A:「全員かよ!最前から末席まで全員かよ!

一人一人握手込みのディナーショウでもやるつもりか!」

女帝:「いやーん妊娠しちゃうー☆

社員B:「ひでえ」

女帝:「14175人の諭吉サマとご対面ー♪
お布団がつくれちゃうっ♪わくわくっ☆」

社員A:「しかも独り占め!ギャラや会場費のこと一切考えてねえ!」

女帝:「……チッ。そううまくはいかねえか」

社員B:「なにもかもいってないです!」

社員A:「冷静になってください社ch……N又さん!
そんなことやって、いくらなんでも埋まるわけないでしょう!」

女帝:「わ・た・し・はただの原画家。忘れんなよ?」

二人:「「イエッサー!!」」

女帝:「あ、それと、席は埋まるわよ」

社員B:「え!?なんでそんなこと言い切れるんですか?」


女帝:「私がシークレットゲストで出るからに
決まってるじゃない」



   。 。        。 。     
  / / ポーン!   / / ポーン!
( Д )       ( Д )









2008年2月16日(土)
みんながあんまり「うはwwwwこいつ漢字間違いだらけwwww」とか言うので
買ってきたよ!






辞書高え……





2008年2月14日(木)

BasiL物語「戦乱」 第六回。



まるでこの世の真理であるかのように、憎々しく言ってのける。

否定したい。
こちらに携わるものとして、否定しなければならない。
が、業界の、特に最近の散々な有様を否定することは、誰にもできない。

そう。「商売では」あたりまえのことなんだ。


「もともとの制作資金の見積もりが甘い。
ゲーム制作にどれだけのお金がかかるのか、複数の人員を使って
商業をするというのがどれだけ費用が必要か、わかっていない現場が多すぎる。
声は当たり前、音楽はプロの集団に……
その向こうには人がいて、それぞれが生活をしているという事実を、
理解しようともしない現場が、多すぎるのよ」


お腹の底が、煮えたぎるように熱い。
彼女の言っていることは、所詮は上からの、携わらない者のセリフだ。

それでも言い返せないのは、正論だから。
理屈じゃなくて感情に訴えたくなるのは、それが正論だから。


「プロデューサーとディレクターのせい、という人もいるわ。
あいつらが無能だから資金が尽きやがるんだ、ってね。
そういう場合も、もちろんあるわ。
だけどね……
何ヶ月も延期するような予算なんか
ハナっから組めるわけねえだろボケ!!



背中の筋が、思考と関係なくまっすぐに固まる。
瞬間、昔の職場風景がよぎる。
現場と真っ向から対立していた、あの一室を。
それは五年たった今、ますますオーラに満ちている。


「開発費ってのはね、高騰する一方なの。
マシンのスペックが上がれば、グラフィックに力が入る。
音源がよくなるにつれて、録音機材も揃えないとアラが出てしまう」
「そりゃ……機材がよくなれば、創作範囲は広がる……
出来なかったことが出来るようになるなら、やりたくなるのは当たり前……」
「それでも予算が増えるなんてことは、そうそうない。
流通からの融資を前提で組んでるとこなんかは、特にね」

「あえて言うわね。
こだわればこだわるほど、延期できる期間は短くなるのよ」
「う……」


じゃあ……私たちはこだわるなっていうの?
無難なレベルに抑えて……心の中に、閉じ込めろっていうの?
そんな……


「そんな! それじゃあ、絵を描いている意味が!
ゲームを作っている意味なんかない!!」


そんなの……愚弄だ……!


「そうね。その通りよ」
「え?」


「それぞれの持っているものを100%、いえ、120でも150でも使わないで
面白いものができるわけがない」


何が、彼女の真意なの?


「私が言いたいのはね……家といっしょよ。
大きくて強い家を建てるには、土台がしっかりしてないとダメよね?
普通の家の作り方で大きい家屋を作ったところで、
○オ○○スみたいになるのがオチだわ」
「壁は薄く、床も薄く……」


「めいっぱいのゲームを作るなら、それをやるための土台……
資金のレベルを、皆に比例して上げる必要があるの
みんなの希望を、叶えるためには」


まるで、そうしなければ未来がないような、当てはまらない者を全否定
するような、冷たい言葉。
でも、それは……


「……あなたなら、できるというの?」
「ええ。さっき見たでしょ、鈴平さん。
私はありとあらゆることをやって、どこにも頼らない資金を手に入れた。
ずっと持ち続けてきた宝物を、再び甦らせるために……」


宝物……まさか……!


「M下さん! あなた!」
「ええ、そのとおりよ。今こそ、解き放つ」



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           /;;;;;;;;;;;;;;;;/ ̄;;;;;;;;Y;;;;;;;;;;;;;;; ̄\;;;;;;;;;;;;;;;;;/ 新生BasiL 1st……
          ./;;;;;;;;;;;;;;;/;;jj|||!!!!!!!!!!;;;;!!!!!!!!!!!|||jj;;;;;;;\;;;;;;;;<   『けれ夜』……世に出す……!
         /;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||从从从 从从人|||||jj;;;;;;;;\;;;;;;;;\
        ./;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||!!''::::::        ''!!||||ii;;;;;;ヽ;;;;;;;;|
        /;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj||||!!'':::::          ''!!|||||ii;;;;;;|;;;;;;;|
       ./;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||!':::::            ''!!|||||ii;;;ヽ;;;;;;\
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「な!? 今更そんなことをしたって……!!」
「この人員・客層の移り変わりの激しいエロゲーの中で、
五年も待ってくれるユーザーがいる。
こんなゲームは、そうあるもんじゃないわ」


格段に嫌な、黒さすら感じる汗が、滲み出てくる。
傷口から出てくる液体のように、じくじくと、止まる気配すら見せない。
身体の水分が、どこかに失われていく。


「人数がそんなに多いと思っているの!?」
「五年もの間、エロゲーをしゃぶり尽くした賢者たち……
十万本出たゲームを知りうる世代……
業界の流れも知ってるような世代……訴えかけるには、十分よ」


姿勢を、視線を、崩さない。
私の目を値踏みするように見つめながら、深層意識に直接、訴えかけてくる。


「二次元に心を奪われた者たちは、決して離れることはない。
熱い時代を生き抜いた賢者であり、猛者でもある漢たちのパワーは果てしない。
彼らの意識に訴えかけるプロモーションを、私は知っている……!」
「だけど! 肝心のスタッフはもう!!
それ散るを作ったスタッフは、もう……!」


「ここにいるじゃない」


ゆっくりと、右手を掲げる。
伸ばされた人差し指が、矢のように私を、鈴平ひろを突き刺す。


「私は、貴方を迎えにきたの。
新生BasiLの、看板絵師として」



ゆるぎない信念。崩れない心。
彼女は全てを見越して、ここにいる。
私がどう動くのかも、お見通しなのかもしれない。

それでも、私は。
あれだけの仕打ちをした、彼女には……!


「M下さん……あなた、わかってるの?
再びBasiLを動かすことは……Navelを、敵に回すことよ」
「……そうなるわね」
「そこの看板絵師は、あなたに真っ向から対立した人物。
そして……」



「私の、友人よ」



いつも二人で、絵を描いていた。
彼女と、なんでも話した。
どんなに下品な会話でも、彼女となら平気だった。

一緒に物を作って、一緒に宣伝して。
一緒に打ち上げをやって、そこでも一緒に話して。

何年も、ずっと、一緒だった。
二人で、いろんなことをやってきた。


私の、友達。


BasiLに入ることは、彼女を……



「できるわけ、ないじゃない」



それを最後に、私は立ち上がろうとする。
本当に、話すことなどない。そう思ったから。

けれ夜を作りたいなら、勝手にやればいい。
世の中には、制作が変わった続編なんか、いくらでもある。
ただでさえ、絵師の一人は、絶対に手に入らないんだ。
後生大事に持っていた版権を使って、自分の作りたいようにやればいい。


「……ごめんね。M下さん。力にはなれそうにないわ。
お金は、必ず元に戻すから」
「…………」


視線を自ら外して、立ち上がる。
彼女の言い分も、業界に対する警鐘もよくわかる。
だけど、それでも私は、戻るわけにはいかない……




確固たる思いで歩き出した、その時だった。




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           /;;;;;;;;;;;;;;;;/ ̄;;;;;;;;Y;;;;;;;;;;;;;;; ̄\;;;;;;;;;;;;;;;;;/ なぜ貴方は、今ここにいるの?
          ./;;;;;;;;;;;;;;;/;;jj|||!!!!!!!!!!;;;;!!!!!!!!!!!|||jj;;;;;;;\;;;;;;;;< 
         /;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||从从从 从从人|||||jj;;;;;;;;\;;;;;;;;\
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       ./;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||!':::::            ''!!|||||ii;;;ヽ;;;;;;\
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「え?」




本能が、私の足を止める。




「一緒に仕事をしているはずの貴方が、
なぜ今、ここにいるの?」





「…………!!」







2008年2月12日(火)
3連休は遊んだり飲みに行ったりと、非常に有意義なことがてんこもりでした。
話しすぎて喉が潰れること数回。引きこもりはほんま基本機能を衰えさせるで……
いろいろとやろうとしている事の勉強になったのはまちがいなし。



何より俺は……新しいワールドを手に入れた……っ!



「ハーイ、ベア!(実名はいろいろと問題あるので愛称で)」

「ハイ、モトヌキ!相変わらず充実したヌキライフを送っているかい?」

「……聞いてくれよ、ベア……」

「どうしたモトヌキ。抱き枕を居間に転がしといたらシスターに見つかって、
それでもなんの感情もなくそのままで食事をとっていたYOUがため息をつくなんて、
またWEB拍手で薦められたゲームに騙されたのかい?」

「……そうじゃない……深刻なんだよ……」

「マイフレンズ、ボクに話してみてはくれないか?」


「最近……フィニッシュできないんだ……」


「オウ!それは一大事じゃないかモトヌキ!
いったいどういうことなんだい?」

「今まで僕は、自分の手こそ究極のウェポンだと思っていたんだ。
だってそうだろう? 指の1本1本がマイサンをきめ細やかに包み込み、
わずかな血管の流れに沿って、自分だけのカスタマイズで昇天。
神が作った人類の、英知の結晶がこのライトハンドなわけだよ」

「メンテナンスも手頃だしネ」

「だけど……何年も、何十年も、こいつと共に生きてきて……
こいつは、俺の全てを覚えてしまった」

「スバラシイことなんじゃないのかい?」

「違う……全てを……しゃぶりつくしてしまったんだ……!」

「Oh!!もしかして……それは……」

「そうだ……全てのテクニックに反応する術がなくなったんだ……」

「ということは……相棒で満足できなくなったと?」

「そんなに軽々しいもんじゃない!生を受けてから、一日たりとも会話を
かかしたことがなかったんだ!なのに……お互いが口を聞こうともしない……」

「…………」

「どうしたらいいんだベア!この右手を失ったら……
俺は……俺は…………!!」


「カンタンさモトヌキ」

「なん……だと……?」


「YOUは毎日毎日、血が出んばかりのサーキットとメンテナンスを繰り返してきた。
マシンはどんどん洗練され、どのポジションからでもフィニッシュできるようになった」

「それが……何か間違ってるとでもいうのか!?」

「その通りだモトヌキ。毎日の訓練はスバラシイ。
しかし、YOUは大事なことを忘れてしまったんだ」

「なに?それはなんだというんだ!!」



「キミのマシンは……完全にオンロード仕様なんだ」



「なにィ!?」

「YOUはどう握れば力が出るか、どの関節を、どのポジションにあてれば
最高の快楽を得られるかを研究しつくしてきた」

「当然だ。それが『神』と呼ばれる所以だ」

「But……君は大切なことを忘れてしまった。
オナニーの道は、決してオンロードだけではないってことを」

「!!ま、まさか……」



「That's right!よく気づいたね。
オフロードを知らずして、覇王とはなり得ないんだよ、モトヌキ」



「オフロード……すなわち外部刺激…………!!」

「オウイエス、モトヌキ。男、女、全ての形は違うんだ。
マシンはその全てに適合できない限り、勝利はない……ッ!!」

「俺は……甘えていたのか……この右手に……
最高の武器にを使っているつもりが……使われていたのか……!!」


「わかったかい?ならば話はカンタンだ。
オフロードへの道も、学んでいけばいい。
なあに、キミならすぐに我がものとできる。
右手がキミを認め直せば、また輝きを取り戻してくれるさ」

「だが……どこから進めばいいんだ?
その一歩は……どこにあるんだ!?教えてくれベア!!」

「モトヌキ、道は一つじゃない。何個も何個もあって、
そのいくつものなかから、一つだけじゃない道を、見つけ出すんだ。

「わからない……どの道を歩めばいいのか……わからない……!」


「心配するなマイフレンド。ボクが、2つだけ、道を用意してあげたよ」


「!?ベア……おまえは……!」

「ただし、これが正解かどうかはボクにはわからない。
なぜなら、それを決めるのは、キミ自身だからだ」

「そして、歩んでみなければわからない……そういうわけだな?」

「その通りだ。成功だったら、進めばいい。
失敗だったら、戻ればいい。それだけのことだ」

「……ああ!俺としたことが、取り乱しちまったようだ!
さあ、導いてくれベア!その○か×かの道をよ!!」


「オーケー!じゃあ……レエエエエエエッッッッツオーーープンンンンンヌ!!」








(  o )       ゚   ゚



「え なにこれ」

「後ろを見るんだモトヌキ」







Let's TRY!!じ ゃ ね え よ



「貴様……この俺を愚弄するか!」

「ボクは真剣だよ。まあ騙されたと思って使ってごらんよ。
きっとキミの予想を超えたグッドニュースが、待ってるはずさ。
それとも、このまま二次元に見捨てられるかい?」

「くっ…………」




というわけで家に帰ってきたわけだが……
本当にこれが、俺を救う道になるのか?
とりあえず取り出して……うわっブヨブヨ……
なんかもふもふしてるし……
どこがななみなんだよ!(もとぬきはななみ派です)

いや……ベアに報いるために!何よりも俺自身を取り戻すために!
進まねばならんのだ!いばらであろうと!雪吹きすさぶ山岳であろうと!
装着……!!




<お知らせ>
当局より規制が入りましたので、ここからは音声のみでお楽しみください☆




おうふっ!

入り口   狭っ

         中が     こんなに

   段差    段差が

お兄ちゃん    ななみで気持ちよくなって?

  ああっ!  清楚な顔をして   もう これは

女の 本能    ツブ  引っかかりが

バギー!これはバギーだ!!

未知の    刺激 あらゆる    角度

翻弄      俺が      翻弄


ゾーン  これは    最終     行き止まり

ななみの中で……ななみの中で、イッて?

幼女が    望む      俺を     身体を

頭と 身体と 右腕が   バラバラに

動く     神経が      逆らう

ダメだダメだダメだまだ早いまだ早い早い早い早い



UAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHhhhhhhhh!!!!!!





カズフサ……おまえの気持ち、少しだけわかったぜ…………





楽しい連休でした。





2008年2月9日(土)

BasiL物語「戦乱」 第五回。



「…………!」


氷のように冷たく、刃のように鋭い言葉が、胸の奥深くを抉る。

何かを買う立場にたってみれば、すぐにわかること。
ゲームと同じ程度の値段のする何か、例えば電化製品。
箱を開けて、もし説明書の何ページかが抜け落ちていたとき。
万が一、部品の一つがなかったとき、どう思うか?

その万が一を出さないために、メーカーは細心の注意を払う。
徹底したチェック。サポート窓口。
これを怠ったところがどうなるか……
昨今のニュースを見れば、騒ぎようは押して知るべし、だろう。


「……ゲームの場合、後からサポートができるわ。
実際に商品になってみないと、わからないバグがどうしたって出るわ」
「そうね。その通り。
人によってPCの環境が違う以上、それはやむなきこと。
何万円もするビジネスソフトだって、バグは必ず出るわ」


この反論が意味を成さない事を、私は知っている。


「昔だって、バグがたくさんあったわ。それ散るだって、修正ファイルを出した。
でもね。デバッグを一切してないのはどれだけあったかしら?


ある! これとこれ! というのは簡単だ。
それが、単なる言い訳に過ぎないことも。


「仕様を変更するのは構わない。間に合わないのなら尚更。
だけど、既に宣伝している部分なら、何らかの形で伝えなくてはいけない。
発売後に発表なんか、他の業界でやったら、どうなると思う?」


……なぜ、私が言われているの?
私が直接、関係していることは何もない。

なのに、なぜ、こんなに胸が苦しいのだろう。
なぜ、自分自身を否定される気分に、なるのだろう。


「ねえ、鈴平さん。どうして、業界がこんな状態になってしまっているんだと思う?
こういうことが多発してしまう状態に、なってるんだと思う?」
「……それは……間に合っていないから……」
「何に?」
「……納期……締め切り……」
「それは、誰が決めるものかしら?」
「か、会社のみんなに決まってる……」


ニヤァ…………


まただ。
一度しか見ていないのに、一生忘れられない笑顔。
有り体に言えば、夢に出そうな、笑顔。
これが出たときの返事は……


「そうかしら」


当たり前のことを言ったつもりだった。
社員が一致団結して、発売日を目指してたゆまぬ努力をする。
それがゲーム会社の、あり方のはずだ。


「なによ。何か違うって言うの?」
「それが確かで、理想的なのは間違いない。
実際、そうやって決めている企業も、数多いはず。
そこで、次の質問にいくわね」


暑い。
空調は完備されているのに、汗が止まらない。
風邪でも引いたかのように、頬が、頭が、つま先が上気している。


「もし、自分たちで決めた発売日に間に合わなかったら、どうなるの?」


当たり前が、当たり前でなくなってくる。
何が当たり前なのか、わからなくなってくる。
それでも私は、答えるしかない。


「……延期するしかないじゃない」
「そうね。間に合わないんだもん。そうするしかないわね。
完成させないことには、発売するわけにはいかないもの」


念を押すように、「発売」「完成」というキーワードを繰り返す。
彼女は、何かを教えようとしている。

確かに少しずつ、何かがわかりかけてくる。
もやもやとして、言葉にすることはまだできないけれど。
いや、もしかしたら……


「延期させて、完成度を高めていく。
自分たちのプロット、ストーリーを完成するために、日にちを積み重ねる。
このとき、クリエイターの脳は、最大限のパワーを発揮しているはず」


そこまで言うと、少しだけ悲しそうに目を伏せる。
憂いている、そんな感じか。


「だけどね、それはいつまでも続かないの。
どんなにみんなの気持ちが一つでも、不慮の事故や出来事が一切なくても、
たった一つの、それでいて最悪の理由で、いともたやすく終わってしまう


!!


彼女の言わんとすること。
それは、いくらクリエイトといえども、複数の人間でやっている以上、
いや、一人の場合だろうと、絶対に訪れる、ついてまわること。
クリエイトと矛盾する、嫌悪する、不変の理由。


「……資金…………!!」


正解、とでもいうように、彼女の顔が歪む。
微笑みという言葉は使いたくない。


「そう。尽きたら、何もかもが終了。今まで作り上げてきたものが、何もかも。
そうなるのは、誰だって、もちろん私だって嫌よ。
だから、大抵は次の行動が決まるわ」
「融資…………」
「普通なら、エロゲーの会社名義で融資してくれるところなんかないわ。
となれば、判を押したように、近いところへと流れていく」


「親会社や、流通にね」


クリエイトと、あまりにもかけ離れていく行動。
それでも、走るしかない。
たとえ、輪の中のネズミのように、ただくるくると回るだけだとしても。


「籍の置き方で、どこからお金が出るかは違うわ。
共通しているのは、相手はあくまでも『お金を貸している』ということ。
どんなに近い仲であれ、借金には変わりないのよ」
「…………」
「相手は損益の分岐点を計算する。
それは『出資元にとっての』という意味でのね。
彼らがその日を割り出したとき……真のデッドラインが決まる。
自分たちの思惑に関係なく」


息が苦しい。
なぜ、私なのか。なぜ、私が聞いているのか。
逃げ出したい。
なのに、私の動きは拒まれる。
誰も、何も言ってないのに、自らが動くことを拒んでいる。


「……ねえ、鈴平さん。
こんな風にならないように必要なのは、何だと思う?
団結力? クリエイターとしての誇り? 個人の力量?」


もう、わかった。
もうわかったから、私に問いかけないで。
せめて、私の口から、その言葉を言わせないで。


「ウフフ…………困らせちゃったみたいね」


知ってるくせに。
私が何を考えてるかなんて、お見通しのくせに。


「意地悪してもしょうがないわね。私の口から、言わせてもらうわ。
必要なのは…………」


抗えない。


「金よ」







2008年2月1日(金)
誰も待っていないけどおまたせいたしました!

2月になりましたので、お約束の通り冬コミにて頒布いたしました
初参加作品を公開いたします!


如月千早 〜序章〜というなんのヒネリもない非常にシンプルなタイトル。
中身はまあアレですが、お時間のあるときにでも読んでいただければ幸いです。



※注意!※
この文章はPDF方式のファイルとなっております。
読むためには、Adobe Reader(Adobe Acrobat Reader)が必要となります(無料)。

解凍後のファイルをクリックしても読めない場合は
お手数ですが、Adobeのホームページ、またはこちらからダウンロードしてください。


インストール方法はこちらを参考に。


大変申し訳ございませんが、インストール等は自己責任にてお願いいたします。



※注意2※
結構な容量になってしまったので、やむなく圧縮させていただきました。
更にお手数をかける旨、お詫びいたします。




それでは、誤字も脱字も提出時のままで収録した処女作品!
英語だとバージンストーリー?(頭の悪さを露出っつーかデビューでいいんじゃねえか)
まあなんでもいいや!とにかく千早本!





こちらからどうぞ!!





尚、千早本の公開は誠に勝手ながら
本日より2月29日までとさせていただきます。
それ以降は公開しませんので、よろしくお願いいたします。



当日、お手にとっていただいた方々には、このような事をしてしまい
申し訳ありません。
そして、公開しようという意欲を与えてくれて、ありがとうございました。





2008年1月30日(水)

BasiL物語「戦乱」 第四回。


注:この文章はイメージです☆(いれておかないと消されそうなので)



復活? 何を?
彼 女 は 何 を 言 っ て い る の ?


「い、今なんて……」
「BasiLを復活させる。そう言ったのよ」


空耳だと思いたかった。
少なくとも、私の中ではもう終わった存在。
彼女のせいで、版権に関わる一切に触る事を許されず、
全てが抹消された存在、BasiL。


「……何を言ってるの? あれからどれだけたっているか、
わからないわけじゃないでしょう?」


五年。


最後の作品を発表してから、もう五年もたっている。
今更、どれだけの人間が、BasiLを覚えているというのだろうか。
「それ散る」を知らない年代も、この世界に入ってきているのに……


「よくわかってるわ……私にとって、本当に長い……」
「だったら今更復活させたところで、何にもならないわ。
だいたい、覚えている人がいるかどうか……」


その時、彼女の表情に、初めて変化が訪れた。
口の右端が、上から釣り糸でも引っ掛けられてるんじゃないかと思うくらいの
機械的な動きで、歪んでいく。

ニヤァ…………

この擬音がこれほど的確に感じられる歪みは、見たことがなかった。


「そうかしら?」


来る。


さっき煙草を消したときと同じ。いや、それ以上の空気の変動。
目が、耳が、鼻が、表皮が。
味覚以外の全てが先に変動を感じて、かろうじて脳へと情報を送っている。
来る……という、それだけを。


「じゃあ、2ちゃんねるのスレにずっとBasiLの名があるのは、なぜ?」
「そ、それはただ、昔からの名残なだけだと思う……
みんなが知ってるわけじゃ……」
「それなら、作品別のスレにそれ散るがあるのは?」
「……ちょっとの、本当に一部の熱心なファンが、立てているだけ……」


そのはずだ。
ほんの数十人、もしかしたら数人の人が、昔を懐かしんで立てているだけだ。
それが五年という月日の、結果のはずだ。

だから、今更BasiLなんて……


「十分じゃない」


口元が更に、吊りあがる。


「美少女……ううん、正直にエロゲーといいましょう。
今の作品の中に、三年……いや、二年間覚えられているゲームが、
どれだけあると思うの?」
「え?」
「キャラでもいい。物語でもいい。末永く、彼らの間で
語られるような作品が、いったいどれだけあるというの?」


……答えられない。
自分が関わった作品を、一つ一つあげていきたい。
だけど……そう言い切れる、自信がない。


「五年間の空白を埋めるため、私は今の業界を徹底的に調べたわ。
前評判、売り上げ本数、発売されてからのユーザーの評価……」


少しずつ、彼女の目に力が入っていく。


「調べていくうちに、思わず私はこう言ったわ。
……何コレ? って」
「ど、どういうこと?」

「ねえ、鈴平さん、貴方たちは、私に不満を持った。
それはわかるわ。
今なら、私のやり方が穴だらけだったのが、イヤというほどわかるから。
でも、今の業界が、どれだけ進化しているというの!?」

「え……ちょっと?」

「タイトル数ばかり増えて、バグチェックすらやっていない。
出来ていないんじゃないわ。やってないのよ?

その上、期限までに終わらなかったのをそのまま販売
商売だから、なんとしても出さなければならないのはまだわかるの。
だけど、発売後にその事実を発表とかダメでしょ。
それまでに楽しみにしていたファンの思いはどこへいくの?
信用は? 信頼はどこへいくの?」


淡々と、あくまでも淡々と話す。
しかし、その一言一言が、胸に突き刺さり、抜けない。


「……時間があれば、必ず作品ができるもんじゃない。
ゲーム作りは、クリエイティブなものだから」
「それはわかってる。仮にも業界に携わっていた身だもの。
アイデア出しやシナリオ、絵の苦しみは、多少知ってるつもりよ」


彼女が、じっと見つめる。
目を逸らすことが、できない。


「だけどね。購入するユーザーには、それはわからないの。
いや、知る必要はないの。

興味を持ってくれる人はたくさんいるけど、
『ゲームとして』のみを求める人も、たくさんいる。
彼らにとっては、手に取ったものが全てなの。
最初に宣言していたものをなくして、それを隠したりするのは
やっちゃいけないと思う。少なくとも、事前に通達するべき。

確かに、ゲームはクリエイティブな面が多々あるわ。
でも、大前提として、会社としての組織から出している以上、
ゲームは『商品』なのは、間違いないの。
出資元は、少なくともそう見ている。

『商品』としてみたら、品物以前のイメージダウンは、
予想以上に企業にとってダメージなの。
だから、万が一の場合のアフターは忘れないわ」


正論。
勉強して日が浅いかもしれないが、少なくとも間違ってはいない。
たとえ、数あるうちの正解の一つに過ぎないとしても。


「この業界には、その辺のフォローが足りてない。
もし、この状態がさらに増えてごらんなさい。
『全員クリアできるようになってから買えばいいや』
そう、みんなが思ったとしたら。
初動が、そのせいで動かなくなったとしたら」
「………………」


ゴクリ。
カラカラになった喉が、不自然な音をたてる。

うすうす、感じていた事。
だけど、こちら側の人間として、言うのがためらわれるような事。


その事実を、彼女は今、冷静に告げようとしている。



「この業界、潰れるわよ」







2008年1月26日(土)
25日戦線はなんだか思わぬところからすばらしい展開が始まったらしいですが
今週買いにいけない俺は既にエロゲーロートルへの道が。
さくらシュトラッセが買いたいの・・・・・・




BasiL物語「戦乱」 第三回。



カコ――――――ン…………



ししおどしの快いはずの音が、部屋の中に鳴り響く。
だけど、今の私にとっては、アニメの中の効果音にしか聞こえなかった。
意図的な寒い演出時の音、というのがしっくりくるだろうか。


「なにつったってんのよ。こっちきて、座って、座って」
「あ、うん……」


言われるままに彼女の元へと向かうが、足取りがおぼつかない。
この建物、この部屋が、別の世界のように感じられる。
名前を出さなくても成り立つ、さっきの政治家のような人間が集う
異質な料亭……と呼ぶことすらできない建物。

なんと言っても、目線を一方向に向ければ、



        ,,,--─===─ヽ/へ
      /iiiiiiiiiiiiii彡≡≡≡|≡ヾ ヽ
     iiiiiiiiiiiiiiiiiii彡≡≡≡≡|≡ミミヾ丶
    iiiiiiiiiiiiiiiiiiii/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ミiiiiiヽ
   iiiiiiiiiiiiiiiiii/             \iiiiiiiゞ
   iiiiiiiiiiii/                \iiヽ
  iiiiiiiiiiiiiii《    ━━━'/  ヽ━━━ ヽミヽ
 ...iiiiiiiiii彡/      __,.::  :: __  ヽiiiii|  
 ..iiiiiiiiiiiii》|             :::      |iiiii|   
 iiiiiiiiiiiiiiii|,                     |iii|
..iiiiiiiiiiiiiiiiii,         ( ● ● )      .|iiii|
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii       》━━━━《       |iiiii|
iiiiiiiiiiiiiii《《《ヽ     》 / ̄ ̄\ 《     |iiiiiiii|
iiiiiiiii《《《《《《《《    《《 \ ̄ ̄/ 》》   |iiiiiiiiiii|
iiiiiiiiiiii《《《《《《《《《《《 》》   ̄ ̄  《《 》》》》》iiiii|
iiiiiiiiii《《《《《《《《《《《《《《《《《《《《》》》》》》》》》》》》》》iii|
iiiiiiiiiiiiiii巛巛巛巛巛巛巛巛巛》》》》》》》》》》》》》》IIII
iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii巛巛巛巛巛巛巛巛》》》》》》》》》》》》iiiiiii




今にして思えば、この時すでに、彼女の「戦略」にはまっていたのだろう。



「さて、改めて、久しぶりね、鈴平さん」
「…………」


声は、間違いなく変わっていない。
だけど、それ以外。
髪型とか体型とか、そういった外観の狂ったような変化はもちろん。
何よりも違うのは……身をまとっている、雰囲気。
私や私の周りの人間とは、一線を画したオーラのようなものが漂っている。


「なに?そんなに私をじっと見て」


そりゃあ見るわよ……


「ああ、そっか……少し、変わったかもしれないわね」


す、少しじゃないわよ!
そう言いかけたのを、なぜか「本能」が、飲み込む。
その理由を知るのは、もう少し後になってからだった。


「あれから……いろいろあったのよ……
一人になった私は、このまま、全てを捨ててしまおうかと思った」


ふう……と軽く息を吐くと、煙草に火をつける。
見たことがない、国内のものではなさそうなフォルム。
一連の動作が流れるようにスムーズで、
あんな風貌なのに、優雅だ……と思ってしまった。


「だけど、今までを振り返ってみて思ったの。
私はまだ、何も成し遂げていない、ってね」


少しだけ、ひっかかった。
だが、質問をさせる雰囲気を、彼女は与えない。
私には、ただ彼女の声を脳に刻む事しかできない。


「だから私は、生きていかなければいけなかった。
新しく出来た目標のため、生き抜く道を選んだ」
「…………」
「なんでもやったわ……男でも裸足で逃げ出すような仕事、
逆に、女だからこそ出来る仕事……」


自業自得。
そう思いながら、私は目を離せなかった。
見惚れていた……信じられないが、そう言ってもいいかもしれない。


「いろいろな世界の、いろいろな厳しさを知った。
私が、いかに甘ちゃんだったか、よくわかった」


一旦言葉を切り、煙草をもみ消す。


「…………!?」


火が消えた瞬間、スイッチが入ったかのように、部屋の雰囲気が変わる。
何かが……起こる!


「そして」
「!!」


今まで部屋の各所を向いていた視線が、突然私に向けられる。
心臓の鼓動さえも許されないような異質の中、視線がからみあう。


「……」
「…………」


ほんの少しの膠着を打ち破るようにして発せられた言葉は、
とんでもないものだった。



「そして貴方たちのやっていることが、いかにダメだってことか、もね」



「…………!」


聞き捨てならない。
頭が、この言葉で一気に沸騰する。
私たちのやっていることの……否定。


「何を……勝手な事を!」
「でも、本当の事よ」
「アンタには……アンタにだけは、言われたくない!」


あの時もそうだ。
会社の事を考えず、トップが一人で突っ走って。
他の誰にも、話さないで。
そんなんで、社員がついていこうと思うわけないのに。


「アンタのせいで、みんながどれだけ苦しんだか……!」
「確かにね。でも、聞こうともしなかったくせに、後からわいのわいの
言うんじゃ、私に言わせたら、大した違いはないわよ」
「な……っ!」


どこまで、どこまで愚弄するというのだ。
不満の原因を作ったのはアンタだ。
ブランドを捨てたのもアンタだ。
みんなみんな、アンタのせいじゃないか。

そう、悪いのは、アンタだ。


「……………………」


なのに、どうしてそんなに、落ち着いていられるの?


こんな場違いな料亭で。
人の怒りを更に増幅させるような言葉を吐いて。
私が本気で、怒っているのに。
今までのアンタなら、ムキになって反抗して、暴走していたのに。

今の彼女は、そんな感情がまるでみられない。
一本芯が通ったかのように、座禅を組んで。
全てを悟ったかのように、こちらをただじっと見据えて……


(……負ける)


直感が、告げた。
なにかはわからないが、このままでは負ける。
汗がさらに一滴、背中を滑り落ちる。

だめだ。これ以上話を聞いちゃ、ダメだ。
お金だけ返してもらって、さっさと立ち去ろう。
そして、もう金輪際係わり合いになるのは、やめよう。


「……アンタと話すことなんて、何もない。
私はただ、お金を返してもらいにきただけよ」
「ああ、そうだったわね。すっかり忘れてたわ」


ぬけぬけと……!
そうやって、何年も、過ごしてきたんじゃないの!?


「そんなに怖い顔しないでよ、約束は守るわ」


どの口が。


「ちょっと待ってね……」


そこで、彼女の傍らにあったものに気づく。
女性が持つにはふさわしくない、大きな、金属製のアタッシュケース。
なんだか、キケンなものが入っていそうな……
まさか……銃?そんなわけないよね。
ライトノベルに関わって、ちょっと毒されちゃったかな。
でも、本当に何が入って…………


「お待たせ。今まで随分と長く借りちゃったわね」


無造作に、彼女が置いたものは。




どんっ



   ______
  /壱 / /万:/|
  |≡≡|__ |≡≡|彡|
  |≡≡|__ |≡≡|彡|
  |≡≡|__ |≡≡|彡|

  |≡≡|__ |≡≡|彡|
  |≡≡|__ |≡≡|/




「え……?」




私の呼吸がかき消されるような、風圧。
コミケのカタログや電話帳を床に落としたような、厚い音。
でもその重みは、実際の重量と、比較できるものではなかった。


「こ、これ…………」
「どうしたの? 早くしまってちょうだい」


彼女の表情は、何も変わらない。
悟った表情は、眉一つ動かす事がない。


「い、いくらなんでも、こんなには持ち逃げされてない……」
「そう? じゃあ、利子だと思っていいわ」


まただ。この部屋に入ったときみたいに、くらくらしてくる。
こんな感覚を味わうなんて、絶対によくない。


なのに。


「…………」


足が動かない。
目が離せない。
その価値に、意識が吸い寄せられていく。


「あ!あーあー、ごめんなさい。私ったら気づかなかったわ。
そのバッグじゃ、持っていけないわよね」


私の動けない理由を勘違いしたのか、
大げさに、少しだけ以前のM下に似せた口ぶりで、声を上げる。


「ちょっと待っててね」


携帯を鳴らし、一言二言呟いた直後、黒いスーツの男が現れた。
これもふさわしくない光景だったが、私にそれを考える余裕は、ない。


「黒田」
「はっ」


その瞬間。


「ひっ!」


黒田と呼ばれた男はいきなり私に向き直り、片膝をついた。
続いてうやうやしく頭を下げ、石化したように、動きを止める。

絶対服従。そう理解するのに、少し時間を有した。


「鈴平さん」
「は、な、なに?」


そんな私の心の中を知ってか知らずか、
彼女は同じ調子で、こう続けた。


「とりあえず、必要なだけバッグに入れてちょうだい。
残りは、この黒田が貴方の口座に入れておくから。心配しないで、取りやしないわよ」
「な……」


何を言ってるの?
信用できるわけがない。第一、私の口座なんか……


「知ってるわよ」


え?


「それだけじゃない。貴方が関わった作品、イベント。
貴方の今の年収、生活サイクル……
貴方の事なら、心の中以外は、ほとんど知ってるわ」
「!!」


汗が滴った後をなぞるように、背筋が凍りついた。

バカバカしい。ハッタリもいいとこだ。
ずっと離れていたくせに、何を……

気味が悪い。金を叩きつけて、帰りたい。
そう、思っているのに。
この女……いったい何を?

とりあえず、今できることは。


「…………」
「あら、随分少しだけとるのね。
さしずめ、私が持っていっただけの額、そのままってとこかしら?」


図星。
何をたくらんでいるかしらないが、これだけなら、正当だ。
後で何を言われようが、文句を言われる筋合いはない。


「まあいいわ……黒田」
「はっ」


彼女、そして私と、それぞれに一礼すると、
絵になるようなスピードで、彼が持参してきたケースに札束をつめる。
そのまま声を発することなく、部屋を出て行った。


「も、もう気が済んだでしょ?
私から話すことは、何もないわ。もう二度と、アンタと話すつもりもない」
「あら、冷たいのね」
「当たり前でしょ!あんなお金見せて、何のつもりよ!」
「見せたんじゃないわ。あれは貴方のものよ」
「ふざけないで!あんな大金、そう簡単にあげられるわけ……」


彼女は、表情を崩さない。
私だけが一人、動物園の動物のように、何もできないのに
檻に体当たりしている。


「本気よ。あれは、今までのお詫びと、これから少しだけの時間を
私のために使ってくれる、ほんのお礼」
「お礼……?」


悪寒が走った。やはり……何か、ある。


「仮に、今のお金を渡さないことよりも、
これからの話を聞いてもらうことのほうが、何倍も重要だもの」


ダメだ。聞いてはいけない。
逃げ出そうとする心。それに反して、動かない足。
自分の意思が末端に直結できていない。


「単刀直入に言うわね」


「話を聞くことなんかないって言ったじゃ…………」




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           /;;;;;;;;;;;;;;;;/ ̄;;;;;;;;Y;;;;;;;;;;;;;;; ̄\;;;;;;;;;;;;;;;;;/ BasiLを復活させる
          ./;;;;;;;;;;;;;;;/;;jj|||!!!!!!!!!!;;;;!!!!!!!!!!!|||jj;;;;;;;\;;;;;;;;<
         /;;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||从从从 从从人|||||jj;;;;;;;;\;;;;;;;;\
        ./;;;;;;;;;;;;;;/;;;jj|||||!!''::::::        ''!!||||ii;;;;;;ヽ;;;;;;;;|
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「!!??」







2008年1月22日(火)
やたーMASTER ARTIST全巻購入特典の社長フィギュア届いたよー(^0^)







ホンマバンナムとコロムビアのタッグは世界一やでー!!



忙しい中自宅に帰ってきたら封筒が届いててね。
吹きすさんだ心に清涼の風を感じたワケですよ。
ようやく社長のお姿を拝見できる、ってね。


で、ワクワクしながら開けてみたら何コレ。


おいおいおいおいCD10枚買わしてコレかよという気持ちが
よいエロゲーを目の前にした俺の怒張の如く勃起猛り上げました。
一応キューブリックなのですが、どう贔屓目に見ても
ここの中のどれとも似ても似つきません本当にありがとうございます。
食玩?ねえ食玩?


強いていいところをあげてみれば、





社長がヅラなのが判明したのくらいか。



とりあえず眠いのでハルヒのフィギュアと比べて見るお。



「カミノケカエセヨー」「ヅラって言えよ」



値段的にはハルヒの方が安いんだよね・・・・・・




次こそは戦乱を。
需要の少なさがビシバシ伝わってくるけど戦乱を。





2008年1月19日(土)
連載を始めると生活が修羅場る能力は異常。

もうちょいまってー。





2008年1月14日(月)
BasiL物語「戦乱」 第二回。
例によっていつまで続くかはわからないので注意。



M下F子。
Bless」「21 -Two one-」と、確実にファンを増加させる作品をリリースし、
ブランドとしての心を、団結力を強めていったBasiL。

しかし、代表であるM下の心は、少しずつ作品以外のものへと向かっていった。
いや、彼女本来の目的が、金銭を得たことにより表面化したというべきだろうか。


エロゲー界においても、BasiL自身においても、
ターニングポイントとなるであろう作品、「それは舞い散る桜のように」。

ファンの作品としての期待、前評判に対する業界からの期待。
そして、売り上げという、制作を商売として続ける限り、避けては通れない期待。


作品として開発することとの矛盾。
生きていくために、絶対に必要となる「金」という足かせ。

だけれど、制作陣にしてみれば、それすらもどうでもいいことだった。
自分達の作りたいものを作り、それに対して正当な評価を得る。
それだけで、よかったのだ。
金のことは、制作以外の誰かが・・・そう、代表が考えれば。

思いを代弁するかのように、必死に走り回る代表。
その光景は、制作陣を安心させるに相応しいものだった。


彼らは気づいていなかった。
この光景が、決して社員全体のための行動ではなかったことに。


「今までとは、何かが違う」
感じ始めた微かな違和感。
開発が進むにつれ、その思いは布に垂らしたインクのように確実に広がっていく。

シナリオの遅れに関わらず飛ばされる、発売日絶対死守の命令。
開発度に比例しない、雑誌その他への露出。

「おかしい。開発って、こんなにも苦しいもんだったか?」

制作以外のところからやってくるストレス。
書けない。描けない。進まない。
だが、社員である以上、上司、ましてや代表には従わなければならない。
書かなければ、描かなければ。
開発が、「義務」へと侵食されていく。


やがて、代表の考えを思い知ったとき、自分たちと全く違うスタンスをとっていたことで
義務が「不信感」へと一気に塗り潰される。
モチベーション、納期、ファンの顔。
全てが、停止する。

不信感が高まれば、意見、まとまりは分断される。
「俺はこうしたい」「私はやりたくない」
自らが、自らの意見を主張する。

その中で、こう思うものがいた。


「だったら、私は私の思うように作れる場所に移るよ」


彼女の考えは、代表と酷似していた。
しかし、彼女には「作品を、絵を創りあげる」といった高潔さも持っていた。

その思いをギタギタに潰され、彼女は目覚めてしまった。
彼女にあって、代表にはないもの。

「絵が描けること」

ゲーム制作において、非常に重要なスキル。
一定以上のファンが支持する、特徴的なデッサン。
それを最大限生かし、自らが自らのための「商売」をすることを
選ぶまでに、そう時間はかからなかった。

今やっていることを、やらなくてはいけないこととして捉える必要は、
もはや存在しなかった。
一刻でも早く、自分の王国を創りたかった。
一般社会では決してやってはいけない、途中放棄というタブーに対する
罪悪感は、彼女の中に存在しなかった。



こうして、「それは舞い散る桜のように」を以て、BasiLは消滅する。



世間の評判、前半と後半のあんまりな落差。
それを受け止め、今後に生かす組織は、もはや存在しない。

似すぎたが故、反発心、反骨心が一層際立った女性。
彼女が中心となって、BasiLのほとんどの人員を集めて作られた
別ブランドは、異様な速さで立ち上がることになる。
まるで、全てが決まっていたかのように。


イベント毎に新発売される大量のグッズ。
一つの世界を、様々な角度から見下ろすというコンセプトの下に
繰り出される外伝に次ぐ外伝。
それに伴って、更なるグッズが大量に作られる。

M下がやろうとしていた事を全て代弁したかのように、
驚異的なスピードでやり遂げていく新ブランド。
古参と呼ばれる人種を置いてけぼりにするのには十分だった。
新規が増えれば、何の問題もなかった。

音楽、映像、商売敵。
ありとあらゆる手を尽くし、手を結び、一つの目的のために動く姿。
それは、必要だけど、染まってはいけないもの。
それに捕らわれたものは、全て同じ匂いを発する。


いつしか私は、その中に人間としてではなく
コマかネジかのように扱われている、と感じた。


「絵を、描きたい。ただ、それだけなんだ」


思いはストレスという形で確実に蝕んでいく。
最も厄介で、それでいて最も重要な「精神」という名の自分自身を。

絵にまつわる事以外に野心を持てない私ができることは、
ずっと昔から、親友として関わってきた彼女との輪廻を、断ち切ることだけだった。


逃げた・・・・・・のかもしれない。
だけど、その事に対して、今も全く後悔はしていない。

私には、やれることがある。
絵を描いて、楽しんでもらう事が出来る。

親友として、同業として道を同じくすることはなくなってしまったけれど、
私の腕は、まだ、動く。



「これで・・・やり直せる」



そう、思っていたのに。なんで、今になって、あなたは。



『あらあら、フルネームで呼ぶなんて、随分と他人行儀にされたものね』
『いいから金返せよ』
『相変わらずねえ』
『いいから金返せよ』


話したくない。
話すことは、何もない。


『ふう・・・・・・頑固なところは、全然変わってないのね』
『いいから、要件だけ、さっさと言って』


どうせまた、金の話に決まっている。
ずっとBasiLのホームページも畳んで引きこもっていたから、
私たちの作品で得た資金も、底をついて・・・・・・



『もちろん、今まで貴方から借りていたお金を、返すための電話よ』



・・・・・・・え?

発言の内容が、理解できなかった。
私の、空耳?
彼女が? お金を? 返す?


『私が忘れているとでも思ってたの?』
『・・・・・・・・・・・・』
『心外ねえ・・・・・・』


あの女にお金を返すあてがあったのか。
そもそも、お金を借りているという自覚があったのか。
考えが頭をぐるぐる回り、言葉を発する能力を奪う。


『まあ、しばらく連絡も取ってなかったしね。いろいろとやっていたから』


ただ、篭城していただけじゃなかったの?
版権だけ意地で守って、作品の利益を貪っていたんじゃないの?


『ま、電話もなんだから、ゆっくりと会って話しましょ。
せっかく久しぶりの再会なんだし』


彼女と、会う? 私が・・・・・・?
その言葉に、我に返る。


『な、なんで私が会わなくちゃ・・・・・・そんなの振込で・・・・・・』
『私が最近、よく使っているお店があるのよ。
貴方の家からも、そんなに遠くはないわよ』


相変わらず自分勝手で、人の話を聞かなくて。
リーダーシップだと勘違いしていた当時の自分が、情けない。


『じゃあ、○○日の××時に。
場所は、貴方のブログあてにメッセージしておくから』
『か、勝手に決めないで!』
『いいじゃない、この日は貴方、オフでしょ?
部屋に引きこもっていないで、たまには太陽を拝むのもいいものよ。
じゃあ、楽しみにしているわ』
『ちょ・・・・・・!』



プツン・・・・・・ツーツーツー



しばらく、通話ボタンを押すことも忘れ、呆然としていた。
いつのまにか立ち上がっていた事に、気づかなかった。

戻ってこないと、あきらめていたお金。
だけど、その金額は結構大きい。
もし戻るのなら、そりゃあ取り返したい。


「それに・・・・・・」


何年も行方知らずだったにも関わらず、今までと同じような口ぶり。
いや、以前にも増した変な尊大さを感じていた。

この数年で、何があったのだろう。

ほんの小さな好奇心。
たった数分の電話の中で、彼女のことを知りたがる、自分がいた。
憎たらしい相手のはずなのに。

更に気になったのは、


「○○日・・・・・・」


本当に久しぶりの完全オフの日を、彼女が知っている、ということだった。





――――――――――――――――――――――――――――――――





「どこにも、店なんかないじゃない」


言われた通りの住所に着いたが、そこにあるのはただの大きな家。
その向こうに見えるのも、単なる住宅街。
間違いかと思いメッセージを確認する。間違いない。

まさか、こんな幼稚な嘘で、私を騙そうとしたのか。
彼女に、そして騙された自分自身に、憤らずにはいられなかった。

文句だけは言おう。
そして、金輪際彼女を思いだすのはやめよう。
最後の仕事とばかり、私は携帯を広げる。


『鈴平さん? どうしたの、道に迷った?』
『迷うも何も、ただの大きい家しかないじゃない!』
『・・・・・・ああ・・・・・・・・・・・・ウフフッ』
『何がおかしいのよ!』


本当に、この笑い方には腹が立つ。


『そこで、合ってるわよ』
『・・・・・・え?』
『入り口付近が、石の階段みたいになってるでしょ?
そこに小さく名前が書いてあるから、見て頂戴』


忌々しく思いながら、妙にてきぱきとした話し方に
つい従って、その方向に足を向けてしまう。



[割烹 桜]



・・・・・・あった。
ここが店だということを隠すようなサイズで、間違いなく書いてあった。


『わかった?
店の人に聞かれたら、私の名前を出せば、案内してくれるから。
じゃ、待ってるわ』


プツンッ


一方的に、電話が切られる。
ただの家のはずが、すごく高級な感じに見える。
なんだか、政治家が出てくるドラマで見たことがあるような・・・・・・



「M下様でございますか。すぐご案内いたします」


いかにも女将といった感じのご婦人が、綺麗な動作で前を歩く。
服装、髪型、私自身が場違いに思える。


「うわっはっはっはっ、任せておきたまえ! これでキミも、○○党だよ」
「有難き幸せでございます。ささっ、△△様、もう一杯」
「酒もいいが、ワシはつまみの方がいいのお!」
「やだあ、そこは私のおつまみです〜」
「うわっはっはっはっ!」


・・・・・・ドラマの1シーン?


「お客様、念のために言わせていただきますが、
ここでのこと、くれぐれも他言無用に願いますよ」
「は、はい」


有無を言わせぬ迫力に、思考を止めるしかなかった。


「こちらでございます」


奥の一室にたどり着くと、女将はすっと膝をつき、
音を一切立てずに扉を開いた。


「うわ・・・・・・」


目に入ったのは、畳。
特有の、それでいてしつこくない香りが、ほんのりと漂う。
何畳にも渡り、青々と敷き詰められている。



「あ、ようやく来たわね」



その奥から、あの声が聞こえた。
何年も聞き続けた、今では憎らしいはずの声。
だけど、この店の、この部屋の雰囲気が、負の感情をかき消していく。


こんなところに入れるなんて、どんな女性になったんだろう?
もしかしたら、知らない間に貴婦人のような姿に・・・・・・・・・・・・





        ,,,--─===─ヽ/へ
      /iiiiiiiiiiiiii彡≡≡≡|≡ヾ ヽ
     iiiiiiiiiiiiiiiiiii彡≡≡≡≡|≡ミミヾ丶
    iiiiiiiiiiiiiiiiiiii/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ミiiiiiヽ
   iiiiiiiiiiiiiiiiii/             \iiiiiiiゞ
   iiiiiiiiiiii/                \iiヽ
  iiiiiiiiiiiiiii《    ━━━'/  ヽ━━━ ヽミヽ     鈴平さーん、こっちこっちー♪
 ...iiiiiiiiii彡/      __,.::  :: __  ヽiiiii|  
 ..iiiiiiiiiiiii》|             :::      |iiiii|   
 iiiiiiiiiiiiiiii|,                     |iii|
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iiiiiiiiiiiiiii《《《ヽ     》 / ̄ ̄\ 《     |iiiiiiii|
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!!??








2008年1月12日(土)
大変遅くなりましたがBasiL物語「戦乱」はっじまっるよー(^0^)





この選択は、果たして正しかったのだろうか?




『では、確かに原稿の方、お受け取りいたしましたので。
今回もいい感じに仕上がってますね〜』
『ありがとうございます。私も掲載を楽しみにしています』
『お任せください。読者のハートを鷲掴みにするような展開にしてみせますよ』
『期待しています。それでは』


「ふうっ・・・・・・」


いつもの形式的な電話を終えると、鈴平ひろの口からは、必ずため息が漏れた。
こうなってしまったのは、いつからだろう。

小説の挿絵、冬コミに向けたグッズ制作、2008年の発売に向けたゲームの原画。
そして、今いちばんプッシュしてもらっている電撃萌王とのコラボ企画・・・・・・
仕事にも恵まれ、忙しくも充実した日々。
絵を描く者として、これ以上の幸せはないはずなのに。

心のどこかに、何かが。
説明できない何かが、引っかかっているような感覚。
掻き出したくても、手が届かない。


「疲れて、いるのかな」


ここんとこ、締め切りに追われていたもんね。
仕事としてやっている以上、破るわけにはいかないし。
信用を得られなければ、仕事が減っていく。
仕事が減れば、絵を見てもらう機会も減る。
そうしたら、絵描きとしては終わりだ。

絵を志す人が、私の後ろにたくさんいる。
努力しなければ、かんたんに置いていかれてしまう。

もし、そのときに、周りからはじかれてしまうことになったら・・・・・・


「くっ!」


あの日の事が、胸に痛みを走らせる。
信じていたもの、一緒に生きてきた人が、変わっていく。
友情が、現実という闇に、塗りつぶされる。


「・・・・・・もう、終わったことね」


そう、全ては終わったこと。
会社に裏切られた仲間で力をあわせ、独立して会社を興したことも。
処女作がブレイクして、絵だけでなく心も、親友と分かち合えたことも。
そのブレイクが、親友を変えていったことも。
だんだんと、彼女の気持ちがわからなくなっていったことも。

仕事というクッションを挟んですら、一緒にいることに耐えられなくなったことも。


今、私はこうして、一人で仕事が出来ている。
たくさんの人の手を借りて、少しずつだけれど、恩に報いている、と思う。
このまま、大好きな絵を描いて暮らしていければ。
私の絵を好きだと言ってくれる人々に、少しでも何かを与えられたら。
それでいい。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はずなのに。



Trrrrrrr・・・・・・Trrrrrrr・・・・・・



携帯のアドレスに入っていない番号であることを示す、無機質な着信音。
間違い電話、じゃなければ、勧誘か、詐欺か。
いずれにせよ、都合のいい内容の可能性は、微塵もない。

だけどなぜか、携帯から目を離せなかった。

携帯を開き、点滅する相手の電話番号を、じっと見つめる。
記憶のどこかに、この11桁が刻まれている。
昔・・・・・・決して良いことではない時代に、この番号は。


「・・・・・・・・・・・・」



ピッ



『・・・・・・もしもし』
『久し・・・・・・ぶりね』
『!!』


身の毛が、よだつ。
まさに、そんな反応がピッタリだった。

忘れたくても、絶対に忘れられない。


『よく・・・・・・連絡なんかできたもんね』


私の人生を、一番最初に狂わせた女。


『ウフフ・・・・・・』


一見穏やかそうで、実際は人を見下した笑い声。
全然、変わっていない。


間違いない。この女は・・・・・・


『覚えていてくれて、嬉しいわ。鈴平セ・ン・セ』


BasiL代表・・・・・・


『M下・・・・・・F子・・・・・・!!』







2008年1月10日(木)
冬コミで三日目なのに俺のところにいの一番にきた常軌を逸した勇者
名乗り出てくれたので紹介しておくぜ!

該当ページはここだ!


いっちょまえに最初っから限定2部なんてことやってたのが
これでおわかりいただけると思います。
本人が肝心の写真を録り忘れたのは
表札を忘れたショックから立ち直ってない証拠だと思いねえ。


それにしてもきったねえ字なので日ペンの美子ちゃんにでも習おうかしら。
待って!そこは日ペンじゃなくてとらのあなよ!





2007年1月9日(水)
あれだけ啖呵切って抜けた仕事場に戻される時点で
この会社もキケンだと思います
>挨拶


のこのこ行く俺も俺だけどな。
だってお金ないんだもん・・・・・・源泉徴収票みたら愕然とする事間違いなし。
ホントは貧乏じゃねえだろという意見をくれる人たちに
エンゲル係数をグラフ化して見せてやりたいです。
モチすら食わないまま正月が終わったぜフウーハハハァー



もうちょいこまかく冬の企業を書きたかったけど、時間がなくなったので要点だけ。



まあミクミクとかやってないでいい加減GOTHICなんとかしろよとか
強度もないのにあんなクソデカい紙袋いい加減やめろよF&Cとか
絶対に喘がない声優をゲームに使い続ける人気>エロの構図を
徹底的にしゃぶりつくす気ですねプリズムアークとか
いろいろ書きたかったのですがもういいや。


で、ですね。
今回思ったのは、セットものが増えたなあという印象。
購入数のわりに金額がかかっているのは、その理由も少なからずあるわけで。
今回だけかもしれませんが、音楽CDにくっついてたりするのが多かった気が。
グッズにまるで興味がない俺にとって、それは脅威以外の何者でもなく。
マキシのために4500円とかだと、さすがに躊躇してしまいます。
納得して買う分には、それで問題はないんですけど。


そんな中、俺が唯一セット物を必ず購入しているブランドがありまして。
Studio e・go!っていうんですけどね。


ここは、コミケセットというものを夏冬必ず出しておりまして。
一万円という抱き枕を除く品物としては、最高に近い金額を維持してるんです。
しかし、サントラがこの中にしか入っていないという理由で、しかも
一般売りされないという事情で、他のグッズは必要ないけど
毎回毎回購入していたんですね。

ところが昨今になって、突然旧作ボーカルコレクションの一般売りを始めるわ
人気?の神楽シリーズに至っては今までセットで一枚一枚売っていたサントラを
全作まとめて売りやがってと毎回セットを買ってる俺にとっては
泣きそうな事態となってるわけでございます。
鬼神楽なんか確か5000円したぞ・・・(原画集かなんかついてたけど)


まあ同じ原画で1年3作は当たり前、3作中5作は大ヒットという
イチロー伝説並みの力を持った天才原画家・山本おば和枝女史の力をもってしても
昨今の販売数の横ばい状態に心を痛めているのはよくわかります。
エロゲーのパッケージ販売で現在唯一のアクチベーション搭載ブランドですから。
中古販売に真っ向からメスを入れるその商魂姿勢には
おじさんは拍手を送らざるを得ません。
個人的には自分の首を絞める行為だと思i


そんなエゴの冬コミセット。今回も買いにいきましたよ。





これならちょっとした買い物にも使えそうですな。
スイーツ(笑)どもが見ても「カワイー」ってなもんですよ。
まったくただでさえコミケ後は荷物が多くなるのにパンツ丸出しの紙袋とか
渡されても、これからどうやってアキバ以外の土地に繰り出せばっていう話ですよ。
まあタイムリープの紙袋とかぶら下げて歩いてる時点で
俺の存在は終わったっていうか始まってもいないんですけど。


で、その一万円セットの中身ですよ。
OHP(イベント情報)には、こう書いてあります。


『エクスヴァイン』オリジナルサウンドトラック
月神楽システム手帳
神楽シリーズ原画集(164ページ)
Studio e.go 2008年カレンダー
月神楽台紙付きテレカ
でぼ袋
福引券



なるほどなるほど、ちょっぴり内容の割には高い気がしますが、
いつものエゴといってもいいんじゃないでしょうか。

今回いつもと違うのは、システム手帳ではないでしょうか。
OHPには、インデックスの絵柄が公開されております。
人によって違いますが、俺は紙の手帳を使う派なので
こんなのも悪くないです。
これでカバーにブランドロゴでもあって、ちょっとした合成皮革でもしたら
今年一年を楽しく過ごせるのではないでしょうか。

グッズでも、実用性があるのって嬉しくなりませんか?
常に持ち歩いてキャラを愛でられるなんて、二次元族としては歓喜の極地。
手帳なら中を見せる必要もないし。


ちょっと嬉しくなりつつ、開けてみました。







うーん、中身は公開されてるからドキドキ感はないけど、
やはり作りはしっかりとして・・・・・・・・・・・








!?









100ww円wwwwwwショッwwwwwwプwwwwwwwwww




わーい常に持ち歩くどころか超スケスケですよー
ってゆーか体温で既にヘニャヘニャになってんじゃねーか!!




もとぬきは、グッズ販売の第2勢力の座を築き上げた
Studio e・go!を応援しています!
和枝先生のどれも同じ豊かなキャラが楽しめるのはStudio e・go!だけ!




そして次のセットも買う俺は間違いなくエゴ儲。





2008年1月6日(日)
冬コミ時にいただいた品物の数々。





経済状態をよくわかっていやがりますねコンチクショウ。


「あさげ」て!ガチで吹いたわ!
体調が悪くて何一つ飲みも食いもできない状態だったのですが、
後日スタッフがおいしくいただきました。
うん。本当に助かったよ。(正月からいい生活ですね)


ようやく元通りに勃起するまでに回復いたしましたので
本当にいただいてしまった娘姉妹をプレイしつつ更新。
ありがとうございます。
鬼畜なのに笑ってしまうこのセンスはマネできないと思うので
個人的には初恋にせまる評価。
ハルルコの(略)を払拭すべくがんばってくださいー。




今更なのを気にもせず冬コミの査収物を公開するお!



とりあえず単品からなー。








自分のブースでどうしようもない赤が出ることがわかっていたので
買い物は控えめにしようと思ったのですが、
チェックしてたらCD物が夏より多くて愕然。
いつものように先行販売は除いてリストアップしたものの
どうがんばっても6桁に届く金額に。
会場にて泣く泣くあきらめたものが何点か出てしまいました。


ピリオドのサントラが後日販売だと思っていたら
発売予定がどこにも書いてない始末。失敗したあああああ
LIttlewitchさん江
会社がピリオドとかになっていなければ
通販でもなんでもいいからやってくれ・・・・・・


他に、予定していて買えなかったのは
ジブリール3セットkeyセットアークセット
VAは興味を失った頃に後に通販するのでいいんですが
フロントウィングがなあ・・・・・・
久々にUの曲が聞けると聞いて飛んできたのですが時既に遅し。
2日目の14時過ぎな時点で飛ぶもなにも。
だってだって、お前らも企業ブースでガチ脱糞とかカンベンだろ?
待機中ならともかくさあ!(十分にダメです)
そんな状態だったのでとてもとても。
どうせやるなら曲芸のブース前で

アークセットに関してはマキシCDが欲しいだけなので
次回のボーカルコレクションに収録される事を祈ります。
じゃらじゃらアークはちょっとやってみたかった。
麻雀ではないみたいなのでシステムが崩壊する危険はないだろうし。
雀バラやという単語は俺とMOSAIC.WAVにとって
放送禁止となりますのでご注意ください。あ、曲が売れれば別にいいのか



そうそう、不肖もとぬき、
ついにNavelブースに並びましたー!

すごいよ!ボクも蜜柑童貞卒業だよ!
さすがはエロゲー業界の一角をある意味で担っていたり
人気原画家自身がブチ抜きで雑誌のグラビアを飾ったり
飛ぶ鳥とかいろんなものを落とすブランドだけあって
2日目の午後でも販売用の列が出来てるよ!
今年も敵なしなのは間違いないね!
以前ほとんどの人間が在籍していた会社が再び息を吹き返しても
新たな柑橘系パワーで蹴散らしてくれるよね!
てゆーかお前らWEB拍手のほとんどがその話題ってどうよ?
(そのうち書きます)

例によってCDが欲しかっただけなのですが、後ろの人の
「ぐああああ抱き枕売り切れかよおおぉぉぉ」
という魂の叫びや具体的な身体の動きを見ていると
俺も何か買わないといけないのかなあという気にさせられます。
これが群集効果・・・・・・ッ!

「どちらをご希望ですか?」
「CDだけ下さい」

俺は強い子。

それはともかく、ここ、だいぶ牛歩が改善されてましたね。
一杯買ってた信者は山ほどいましたが、不思議なほど会計がスムーズでしたよ?
売り子の皆さんが慣れてきたのか、電卓の使い方講座でも開いたのか。
原画家が一番金の扱いに慣れているという状態が
よく考えると異様なわけだからなあ。
この調子ならペナもくらわないだろうし、立派なグッズ屋になれると思います。


ところで、おれつばって本当に出るの?




すいません。一旦ここまで。





2008年1月2日(水)
あけましておめでとうございます。

6年間なんの代わり映えもしない、更新量が減るばかりのサイトですが
出来る範囲で思うがままにやっていきますので、適度にお付き合いください。


いつもならコミケ中の散在っぷり大アピールとなるところですが、
今回は、これを言っておかないことにははじまらないでしょう。


ブースに来ていただいた全ての皆様、
本当にありがとうございましたー!




新年最初の更新でもありますので、当日を振り返っておきますね。



初出展にもかかわらず300部頒布という常軌を逸した行動により、
とても一人では準備ができないという理由で搬入のお手伝いをお願いすることに。
具体的には朝8時に集合です遅刻したらチケットを有明の海に放り投げるという
桃園の誓いを立て、前日の飲み会も俺一人酒を一滴も飲まず万全の構え。
明鏡止水にござる。


で、31日の朝8時。


駅のトイレからミッションインポッシブルの男が一人いました。


もうね。上から下からいろんなものが
28日からずっと具合が悪いのですが、最悪に近かったのではないかと。

おかげさまで当事者が40分の遅刻。
|∀゚) 隙間からブースを覗いてみると、本来別のブースを手伝うために来ていた
人も協力してくれて、既に出来上がっておりましたとさ。
俺いらねえじゃん・・・・・・


俺:「やあ、お前らご苦労」
「死ね」
俺:「おー、納品二箱で収まったのかー」


何か言われたような気もしますが華麗にスルーし、当日納品された箱に手をかけます。
え?すでに準備終わってんじゃねえの?という視線も気にせずビリビリビリ。
ドサドサドサ。


俺「・・・・・・っしゃ!いくぜー!!」


カシャッ







見よ!これが60P×300部の威力だ!!



うん。ぶっちゃけね、300部刷った理由って、コレをやりたかっただけなのね。
いかにも「初めて参加しましたー」的なアホがキャッホキャッホ言いながら
カシャカシャやってる姿は一歩間違えれば有明にドボン。
待って!まだ魚類に犯される性癖はないのよ!
今書いてて思ったけど、魚類レイプって新しくね?
うわあ・・・ホンマグロの口の中、あったかいナリ・・・・・・


周りのサークルさんの「次に関わることはねえな」的温かい視線を一身に受け
目的の半分が終了し、達成感に満ち溢れた後、思ったね。



どうすんだよこれ・・・・・・



あ、ちなみにタイトルと表紙はこんなでした。






「表紙がどんなデザインだか教えてください」という意見もいただいてましたが
デザインなんかねえよ!
友達なんかいねえっていってんだろーが!



そんな魂の叫びをアイマス島に響かせながら、ホワイトボード(30日の写真のアレ)
にあの汚い字で頒布価格や限定数を記入。
ややデカ目のボードの下半分を綺麗に空け、不恰好な案内が完成。


「そんなに隙間空けてどうすんの?」
俺:「ここにいる奴らに・・・・・・俺たち夫婦の愛を見せ付けるッ!
「げえっ!逃げていいですか?



そうです!俺がブース出展したもう一つの目的!
希望との愛の展示博覧会ーーー!!



等身大POP妻自身を公開するのに多大なる問題(著作権的な意味で)
が発生するという理由で泣く泣く諦めざるを得なかったC73!
だがしかし、俺たちがいかに夫婦円満なのかをアピールできる場は
不特定多数の老若男女が集まるここしかない!
ぶっちゃけ本の作成は二のつg


そんなこんなで持参したこの表札!(参照URL
CGだろ?と疑いの眼差しを向ける方のために用意したこれを
今!白日の下に晒すときが・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


玄関に置いてきた・・・・・・・・・・・orz


あああああああああああああああああああ!
ちゃんと裏側にマグネットつけておいたのに!
唯一の発表の場がああああああああああああああああ!!!


目に見えて落ち込む俺。
さっきまでのハイテンションからの脱力ぶりに怪訝な顔をする周囲。
本当に・・・本当に公開したかったんだ・・・・・・・・・・・・



ちなみに限定数ですが、最初から2限とさせていただきました。
1限にしようかと思ったのですが、実際に買い物をするとき、1限だと
頼まれたものすら買えなくて困る場合があるんですよね。
かといって複数OKってのは、俺の中でなんか違う気がしたので。
そんな人はいないでしょうが、一応そうさせていただきました。



そんなこんなで10時になり、拍手と共に会場。
その時のローテンションは、マジでかなりのものでした。
あーあ、ネタの半分は達成できなかったし、そんな売れないだろうしもういいかな・・・
と宅配便の荷札でももらってこようかと思っていたら、



「一部ください」
俺:「はい?」



え?この時間に入場できるってことは、だいぶ前から待ってたってことだよね?
ヘタすりゃ始発とかその辺だよね?
それで何?一番初めにきたのが・・・・・・ここ?


な、なあに。たまたまだよ、たまたま。
たまたま通り道に俺のがあったから、時間のロスを考えただけなんだよ。
このまま売れるなんざ、出来すぎも甚だしいってもんだろ・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




そこからの三時間、何が起こっているのかわかりませんでした。



以前からサイトを見ていて、足を運んでくれた方。

手にとって、挿絵も一切ないのを確認して、それでもお金を渡してくれた方。

地図に他のたくさんの印がついている中、ここにきていただいた方。

頼まれものらしく、何度も念を押して、その上自分の分まで買ってくれた方。

普段表に出ないのに名乗ってくれた、昔から見ていたサイト管理人の方。



本当にたくさんの方々が、こんな所を訪れてくれました。



気づけば、体調が悪いとか、そんなのどうでもよくなっていました。
元々の能力に加え、加齢臭漂う年齢と共に記憶力の欠落した脳をフル回転させ、
喋りまくりました。少しでも話題が膨らむよう、自分なりにがんばりました。
おそらく、アキバで働いてたときもここまでは出来なかったと思います。

途中うずくまったりしてしまいましたが、完売という全く頭になかった結果になるまで
誰にもまかせず、自分の手で、本を渡す事ができました。



その後も、ブースにずっといました。
どこにも、挨拶にはいきませんでした。
閉場の16時まで、一度だけトイレに行った以外は、最後まで離れませんでした。

これも、決めていました。
今回の出展でやりたかったことは、


300冊の大量っぷりをサイトに載せること。
表札を会場に持ち込むこと。



ネタ的には上2つですが、厨房っぽいといわれようが
必ずやりたかったことがありました。



発表した価格を崩さない事。

限定数を必ず設け、知人友人関係なく
読みたいという方に手に取っていただく事。

自分の手で本を渡す事。

最後までブースで、自らが対応する事。




赤か黒かで言えば、どうしようもなく赤です。
印刷代+ブース参加費で、マイナ20k。

でも、そんなのどうでもいいくらい、貴重な体験でした。
厨理由を守ったことで、一人一人の顔を見て、話ができて。
謝罪を受け入れてくれて、雲の上の存在だった方まで来てくれて。

金額以上どころじゃない、何倍も、何十倍もの出来事を、
たった一日で得ることが出来ました。


同人で成り上がるとか、そんな事は毛頭思っていません。
俺はあくまでも個人サイトの管理人で、それ以上でもそれ以下でもありません。
そういう方々を否定する気はこれっぽっちもありませんが(それも正しい形の一つですし)
自分自身も今のスタイルを崩す気はありません。

だけど実際に、手伝いや寄稿という形ではなく、自分自身でブースに立ってみて、
何千というサークルが応募し、仕事や生活で死ぬような思いをしても
同人活動を続けられる気持ちが、ほんの少しだけ、わかった気がします。


だって、最初は気の迷いかと思っていたんです。
テンションがいつもと違うから、感傷に浸っているだけだと思っていたんです。


だけど、年が明けて、体調が悪かったけど新年会もやって、
愛すべきバカ共と年齢に関係なく騒いで。

2日経って、査収物の片付けも終わって。
正月の終わりとともに、皆が新しい生活へと戻っていっても。

それでも。



またやりてえな・・・・・・って、思っているんです。



周りには、これが最初で最後だと、言っていました。
本人はガチのつもりでしたが、どれだけの人が本気で聞いていたのかは
わかりません。いつも口からでまかせばっかり言ってますから。


そんな大ウソツキですから、いいですよね?
撤回しちゃっても、いいですよね?


もちろん実現できるかはわかりませんし、保証は一切できません。
だけど、また、あの場に立ちたいとは思っています。


もし、それが実現できたその時は、
皆様よろしくお願いいたします!!



文章以外のほぼ全部の作業をやってくれたひめさま!

隣のサークルになってしまったばっかりにうるさいわジャマをするわで
迷惑をかけっぱなしだったにも関わらず、文庫サイズの入稿の話などを
気さくに話してくれた霧島工房の皆様!

全くブースから離れていないのに、頒布物を持って遊びに来てくれた
サークルの皆様方!

そして繰り返しますが、手にとっていただいた方々!

完売した後も、声を掛けていただいた方々!

みんなまとめて!ありがとうございました!!





今回の頒布物に対する方針が固まったので、
ついでに発表させていただきます。


一番よく聞かれた店舗委託についてですが、
一切やりません!!

ごめん、やっぱり自分の作ったものを店で売る行為には耐えられない。
そういうことをしたくてやったんじゃないし。


なので、完売した以上もうないということになりますが、
だからといって暴れたりはしないでください。


この千早本、
2月にこのサイト上で公開いたします!!


60Pということで容量はそこそこになってしまいますが、
既にデータはあるし、結構見やすいのでそれほど困らないと思います。
100円出していただいた方には申し訳ありませんが、
一ヶ月という期間を免罪符としていただくことで、ご容赦いただきたく思います。