そ よ 風 の 小 径

第29回  野バラの季節に  (2010年 6月 20日)

   新緑の季節を待ちわびていたように一斉に咲き出す野バラ。

   その白さは周囲の緑に映えていよいよ白く、一年で一番爽やかな時を迎えるのです。大好きな花の筆頭にあがる

 この花を初めて意識したのは、小学生の頃、音楽の教科書にシューベルトのあの有名な

  「童は見たり 野中のバ〜ラ」

 という歌が紹介されていて、そのページに描かれていた線画の野バラでした。その絵が気に入って、何度となく模写

 した記憶は、長い年月を経て本物を前にスケッチを繰り返す現在の自分につながっています。

  日本全土に分布する野バラ{野茨とも呼ばれるそうです}は、幹の高さ1〜3メートルにも伸びて各地の川岸、湖畔

 などでも見かけます。強健な性質から栽培バラの基本種になっているそうですが、その姿の良さから自宅の庭に植

 え込むご家庭も時折見かけます。

  個人的には、豊橋公園内にある野球場周囲の土手に咲く花のスケッチをすることで、作品作りに生かしているの

 ですが、今年は両手に抱きかかえて届けてくれた人がいたおかげで、いろいろなフォルムを試すことができました。

  作品展に足を運んで下さった方には、この野バラが微笑んでお出迎えしました。

  そう言えば小川知子さんの歌、「初恋の人」に

  「野バラをいつも両手に抱いて、朝の窓辺に届けてくれた〜」

  というのがありましたけれど。

  さて、私のもとに野バラを届けてくれた人は・・・・・秘密にしておきます。
  

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