そ よ 風 の 小 径

第28回  心に届いた案内状  (2010年 5月 9日)

   仕事柄、いろいろなジャンルの人から案内状をいただきます。水彩画展はもちろんのこと、油絵、書道、陶磁器、

  生け花、音楽コンサートなどですが、案内状にはごく短くメッセージが書き込まれていたりして、そんな時は嬉しい限

  りです。さっそく予定帳にその日を書き込んで、できるだけ足を運ぶようにしています。たいていは知り合いの個展で

  あり、催し物で会場も既に承知の場所であることがほとんどです。

   ところが最近、全然面識のない人の、まだ訪れたこともない場所、それも結構遠方まで訪ねるという経験をしました

  ので、ご紹介しようと思います。

  名古屋の栄えに出掛けたときに立ち寄る画廊で、一服の清涼感を湛えた案内状に出会いました。それは芳名帳が

 置かれている机のすみに、さりげなく置かれていたのですが、そこに印刷された絵が水彩であること、何気ない木立

 を描いた左上の方に、一文字 「風」 という文字があったことが琴線に触れ、その案内状をいただいて帰りました。

  何日かして表に印刷された文章に目をやると、春日井市の郊外にある「岳」という名の画廊喫茶で一ヶ月程の会期

 で個展が開催されていることを知りました。

 「ここではどんな風が吹いているかな〜岳は、田んぼが見える素敵な空間です。のんびりとした時間を楽しんで下さい。」

  そんな誘い文句に心が動いて、週末に夫と出かけることになりました。最寄りの高蔵寺駅からバスで10分、あとは

 案内状に印刷された地図を頼りに、てくてくと歩くこと10分余り。山を切り開いてできたと思われる住宅街を抜けると

 確かに田んぼが見えてきました。そして見つけた画廊喫茶{岳}は、吹き抜けの空間が好もしい喫茶店でした。

  幸い作者(伴野重由氏)も居合わせていて、同じホルベイン水彩絵の具を愛用する者として、いくつかのアイデアを

 いただくことができました。

  恒例の私の作品展も間もなく始まります。まずは、案内状作りからスタートするわけですが、知らない人が手にした

 ときに、 「 あ、行ってみたいな 」 と思ってもらえるような案内状が作れたらいい、と思っているところです。

  このホームページでごらんになった皆様もどうぞお出かけ下さいね。
  

会場の喫茶「岳」の前で

伴野重由氏 水彩画展の案内状

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