そ よ 風 の 小 径

第20回  秋の七草  (2009年 9月 27日)

  今年も秋の七草が話題にのぼる季節が巡ってきました。毎年、七草にまつわる新しい知識をいただくのは、

 楽しいものです。

  万葉集の中で山上憶良が詠んだ七草の歌では、

 「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 ・・・・・」 と四番目に登場する撫子ですが、撫子色という呼び名があって、

 それはそのままピンクを差すのですとある番組で紹介しているのを小耳に挟みました。

  そういえば、「撫子の花・・・・・」の次に列挙されている女郎花についても、おみなえし色という呼び名がある

 そうで、緑がかった黄色のことを指すのだそうです。

 水彩画教室では、ホルベンイン透明水彩絵の具を

使っていて、カドミウムレッドとかコンポーズブルーと

かいう名称をひとつひとつ覚える必要があります。

 もしもナデシコ色やキキョウ色といったふうに覚えれ

ばいいのであれば、どんなに気が楽になるだろうとい

う人も多いことでしょう。

 実際、新しく教室に入いられた人の中には横文字が

並ぶことに戸惑いを隠せない方もいらっしゃるので、

何か良い工夫はないものかしらと思っていたところで

 した。そこで、手元にある小学館発行の「色の手帳」をひもといてみました。

  ありました。確かにたくさんのピンクを示すページの一隅に、さわやかな色合いのピンクが撫子色として紹介さ

 れています。

  ところがほぼ同じ場所にほとんど同じ色で 「石竹色」 と 「鴇色」 が載っているではありませんか。

  それぞれに美しい呼び名でありますが、たくさんの色を駆使して季節の花を描くには、「色の手帳」 は残念な

 がら参考にはなりにくいようですね。

  ちなみに撫子を描くには、ホルベイン全108色の中からはブリリアントピンクがお勧めです。
   

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