そ よ 風 の 小 径

第13回  落  椿  (2009年 4月 5日)

  今の季節に公園を散策していると、藪椿が至る所で咲いているのに出会います。

  もっともこれは今に限ったことではなくて、花が途絶える季節にはこの藪椿の紅に慰められるものです。

  それが4月の声を聞き、一斉に花たちが動き始めると、つい控えめに咲くこの花は忘れられがちになる

 のでした。

  でも落ちていた花があまりにも綺麗だったので、拾い上げて持ち帰り白いお皿に並べてスケッチしてみ

 ました。とたんに絵心が動いて、こんな作品ができあがりました。 

  「ゼラニウム」

  この花ほど生命力の強い花をほかに知りません。

  ほぼ一年中花を咲かせ続けるといってもいいでしょう。それだからでしょうか、つい手入れをお座なり

 にしてしまう傾向があります。

  この冬もベランダの隅っこに追いやられて、ほとんどその存在を忘れられていたゼラニウムが、久し

 振りに花芽をつけているのに気がつきました。

  鉢ごと手にとって眺めると、強風にあおられて変形した軸の先に、新しい花の生命がみなぎっていた

 のです。

  それから僅かな日数を経て、鮮やかな笑顔を蘇らせたゼラニウムは、今アトリエで絵のモデルに収

 まりました。

  花言葉・・・・・決心

  南アフリカ原産の多年草で、日本には江戸末期に渡来したそうです。
   

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