スポーツに関しては、体力やセンスのない作者にとっては苦手な世界です。けれど、意外にも一緒に卓球をやってみた

ら、できるようになったのです。東京で活躍している長姉は、卓球で全国制覇を幾度となく達成しているアスリートで、

その血筋かな、などと思っています。

 作者は7~8年前より体力維持と健康を目的に週に1回ほど私と卓球を始めました。ほとんど期待してはいなかったの

ですが、私の予想をはるかに超えて上達しました。練習パートナーも務まると思いました。そんなことで富山同行、富山

市内のホテルでの古希祝いとなったのです。

 アトリエ作者は今年の7月で70歳、古希となりました。古希の誕生日ですので、いつもの年とは違うように祝おうか

と思っていました。実際に違った形とはなったのですが、それは偶然によるものでした。

 私は中学の部活で始めた卓球を今でも続けています。6年前からはラージボールの全国大会に出場しています。今年は

富山県で開催されたのですが、大会日程と作者の誕生日が重なってしまったのです。そのことを告げると作者は「ついて

行く」とのこと。理由は「心配だから」何が心配かというと、私が車で行くと言ったから(遠距離、長時間運転の心配)

 確かに富山は遠いところですが、豊橋から高速道路を乗り継いでいけば、4時間ほどで行けるのです。試合会場と宿泊

ホテル間の移動などを考慮すれば、車で行くのがベストとの判断からです。一人でも大丈夫でしたが、作者同行の申し入

れを受け入れたのは、誕生日のこともありますが、不在の練習パートナーになってもらえるという期待もありました。

そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                     
     吉沢 武久

 7月初旬の富山での大会でしたので、暑さ対策として団扇を持って行きました。その団扇、この夏にリニューアルした

のです。これまで長年使用していた団扇が破れてしまい、取り替えるか張り替えるかしなければなりません。使い慣れた

団扇だったので、張り替えることにしました。お気に入りの女優さんの笑顔を剥がす時、ふと黒田清輝が描いた「湖畔」

の絵が頭に浮かびました。団扇を手にした麗人(後の清輝夫人になる女性とのこと)が芦ノ湖湖畔で涼をとっている傑作

です。あの団扇に描かれている絵は、はっきり分かりませんが、どうやら萩のようです。萩なら作者も秋になると描く花

の一つです。

 そこで、張り替える絵に作者の作品を使ってみたらどんな風になるか、試してみたのです。団扇絵の定番、朝顔や少女

の入った作品を選びました。試作した団扇は10種類ぐらいになり、8月の作者実家帰省の際に幾つか持って行きました。

 9月に入りましたが、まだまだ暑さは続きそうで、練習や秋の大会にこの団扇を持っていく機会は無くなりません。

 (今回のエッセイの中で使用している絵は、全て団扇の試作に選んだ作品です)

第 16 回   卓 球 と 団 扇   (2019年 9月 1日)