風 誘 讃 花    


          第 37 回   パ ン ジ ー の 底 力   (2018年2月1日)   

  花の水彩画教室でパンジーをお手本にすることになってから、花屋さんに足を運ぶ度に描きたいな、と思える鉢を買ってい

 ました。パンジーの苗が出回り始めた頃からそうしていたので、既に結構な量がベランダでひしめき合っています。

  寄せ植えにしてしまえば、整理整頓がつくのですが、小分けにしてあるのはいずれ見本として教室に持ち込みたいからで
 
 す。よって、我が家のパンジーたちは、お手本の御用が終わるまでは、家の外と中をせわしく往復する運命にあるのです。

  さて、東海地方に今年最大の寒波が訪れた日のことです。夜間はベランダに出しておくパンジーの鉢ですが、早朝にふと

 見ると、全員ぐったりと下を向いて瀕死の状態に陥っているではありませんか!気温は氷点下。

  「これは一大事!!」と大急ぎで家の中へ避難させると同時に、「なんということをしてしまったんだ」と反省がこみ上げて

 きました。こんなに薄くて繊細な花びらをした植物を、それも毎日のようにモデルになってもらっている大切な、いわば相棒

 をどうして氷点下になることが予測されていた場所に置きっぱなしにしたのだろうと。

  後悔先に立たず、という言葉が頭をかすめるのも苛立たしく考えながら、とりあえず温かい部屋の中へ移しました。

 するとどうでしょう。ほんの少し花から目を離した次の瞬間、瀕死状態だったパンジーが、みるみるうちに復活していった

 のです。それは本当にあっという間の出来事でした。「 何かありましたか?」 と言うかのように元に戻ったパンジーに

 これぞ冬を代表する花の底力を感じたことでした。

  教室でのモデルを終えたら、パンジーたちを今よりも大きな鉢に移し替えてあげましょう。陽射しがたっぷり降り注ぐ

 場所に置いて水を切らさなければ、5月一杯までは、きれいな花を次々に咲かせてくれる筈です。
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