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風 誘 讃 花 |
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宮沢賢治の童話に 「 めくらぶどうと虹 」という作品があります。かれこれ半世紀前にこの童話を読んだ時は、さっぱり内容が |
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賢治もこの野ブドウが大好きだったのでしょう。めくらぶどうと虹、という題ですから、当然このお話には虹も登場してきます。 めくらぶどうが見上げる空に、やがて大きな虹が現れます。その虹に向かってめくらぶどうは声を掛けます。めくらぶどうにとって 虹はあこがれの対象でした。 「 どうか私の気持ちを受け取って下さい 」 めくらぶどうは自らのはかない運命を嘆き、命をかけ て虹に仕えたいと訴えるのです。 こうして童話を紹介している私でさえ、この言葉は唐突に思えます。もしもよろしかったら宮沢賢治の原文をひもといて下さいませ。 今は美しい色をとどめているけれど、やがて色あせる運命を嘆くめくらぶどうに対して虹は答えます。現実は常に変化し、一秒ず つ削られたり崩れたりもしている。けれど、もし真の力がこれらの中に現れる時には・・・・いつまでも滅びることはないのだよ、と。 童話と呼ぶにはあまりにも重く、深いテーマではありますが、賢治の童話はまことの力、法華経の教えを説くために書いたとも 聞いています。いずれにしろ、この短い作品の中に、計り知れない世界観が内包されていることを、美しい自然描写とともに味わ わせていただいた幸せなひとときでした。 今手元に置いて描いている野ブドウも虹も、刻一刻と変化してゆくものです。もっとも美しい時を経て、やがて褪せていく。そんな 生命の推移といったものを描き続けたいと願っています。 |
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