風 誘 讃 花    


      第 2 7 回   ポ ピ ー を 育 て る   (2017年4月1日)   

  ポピーの種を知っていますか?「芥子粒」とはよく言ったものだ・・・・・と感心してしまいました。本当に小さく小さいのです。

 もともときわめて微細なものにたとえる言葉ですけれど、「本当にこの中に花の生命が詰まっているの?」と言いたくなる大き

 さで、あえて表現するなら 「 ポツン 」のひと言に尽きます。

  初めて出会ったポピーの種の感想は、そういうものでしたが、土に蒔いて2ヶ月、まだ凍てつく日が続いたある日、ピンセット

 でつままなければ、つかめない程の芽をもたげてきたかと思うと、ぐんぐん成長し始めました。そして早春の声を聞く頃には、

 50センチくらいに伸び、莟をあちこちに付けたのでした。

  その様子はさながら五線譜のよう。程なく莟が弾けて、クチャクチャにした和紙を広げるかのように、赤・黄・オレンジ、時々

 白の花が次々に開き始めました。

  そうなると、こちらの絵心も満開になったポピーに向かってスケッチブックを広げる日々の始まりです。

  そこで気がついたことの一つですが、どうやらポピーの花は、太陽の光に向けて特別なセンサーを持っているということです。

 普段、ベランダに置いてある鉢植えを描くために、家の中に入れることがあるのですが、窓辺に置いて一定時間すると、花たち

 が皆、外に向かうのです。

  私の立場としては、花のお尻よりも表の方に興味がありますから、そのたびに向きを「 ヨイショ!!」と換えるわけですが、ポ

 ピーにしてみれば 「 いけず 」ということになるのでしょう。

  いずれにしても、初めてポピーを種から育ててみて知ったことで、これからも楽しい発見はまだ続きそうです。

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