風 誘 讃 花    


      第 2 2 回   モ グ ラ の お 話   (2016年11月1日)   

   同じ市内に住んでいる娘家族4人が、時々連れ立って夕食を共にするために、やってきます。スイーツを持参

 することが多いのですが、この日は採れたての薩摩芋で作ったというお手製のスイートポテトでした。

  この薩摩芋は、我が家で借りている農園の一角に、娘家族が植えたもので、無事に収穫の時を迎えたのでした。

  今年、中学生になったお姉ちゃんと小学1年生の弟、どちらがそれを植えたいと所望したかは定かでありません

 が、ネットでスイートポテトの作り方を検索して、みごと美味しいお菓子を作りあげた中学生の孫に拍手です!

  一緒に住んでいるわけではないので、というかだからこそ、その時々の成長が、新鮮に感じられるのかも知れま

 せん。孫の成長のこともそうですが、家庭を築き、協力して子育てに励んでいる娘夫婦に対しても同じことが言える

 ようです。この頃では、若い者に教えてもらうことも多くなってきました。

  さて、夕食が済んでスイートポテトをいただきながら、農園の話題になりました。実は私たち夫婦も同じ日曜日の

 早朝に農園に行ってきたのですが、そのとき農園の見回りをしている人から

  「 最近、この農園にモグラが出没して困っている 」 という話を伺ったのでした。

  モグラは地中にトンネルを作り、ミミズや昆虫の幼虫を食べて生きているらしいのですが、その際に土地を隆起

 させて、農作物に害を与えるのだそうです。

   そういう話を聞いてから畑を見渡せば、確かにあちらこちらにでこぼこした不自然な隆起が見受けられます。うち

 の畑も例外ではありませんでした。

  モグラの話が出て、誰からともなく、「 モグラ、見たことある?」 という質問が出されました。夫以外に全員NO

 という答えに、早速夫がインターネットを開きました。そこには黒褐色をした大きな手を持った生き物が映し出され

 て、 「 ああ、これがもぐら 」 ということで一件落着となったわけです。そして、もうすぐ40代にならんかという娘

 が、懐かしそうにこう言ったのです。

  「 モグラといったら、アンデルセンのおやゆび姫に出てくるモグラしか浮かんでこなかったわ 」

 その言葉に思わず私も、 「 そうそう、あのモグラ、立派なコートを着ていたのよねぇ 」 と応じたのでした。

  一瞬、娘はランドセルをカタカタ鳴らして帰ってくる小学生に戻り、私はそれを迎えて一緒におやつを食べたり、絵

 本を読んでやったりしている頃の母親に戻ったのです。もう何十年も前の出来事になりますが、そんな時代もあった

 ということ、それはまぎれもなく幸せなひとときでもありました。

風誘讃歌へ
そよ風の小径一覧 そよ風の小径パート2一覧
トップページへ戻る