その色は、緑、青、青紫、赤紫、といったところですが、絵を描く人が開いてくれる「そよ風のアトリエ」
であるならば、その色彩がターコイズブルー、コバルトブルー、コバルトバイオレットライト、キナクリドン
バイオレット、コバルトグリーン、そこにちょっぴりインジコを混ぜて・・・・などと記述しても、許されるので
はないでしょうか?
何しろ多彩なのです。いわば宝石箱をひっくり返したような愛くるしい実であったなら、それが野ブドウ
だと思ってくださいね。
でも、その美しさを描こうと一枝持ち帰ってみても、程なくそれらは褐色に変わってしまうのが常ですが
心の中に大切に収めた記憶をたどりながら、毎年描いているのです。
今年も野ブドウを探して郊外の雑木林を散策していたら、その野ブドウに絡みつくようにして、青紫の
実をつけた植物がありました。今まで気にもとめなかった草が、目に入ってくるのもこの季節ならでは。
一枝持ち帰って植物図鑑で調べたら、「イシミカワ」 でした。
茎に下向きの鋭い刺が生えているので、先端の色づいた実だけ持ち帰りました。直径が2〜3ミリの
小さい小さいその実は、白い絵の具皿に収まって、絵のモデルを務めてくれたのでした。
この季節、春とはまたひと味違う色彩が迎えてくれる自然林に、あなたも足を運んでみませんか。
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