今年の桜前線も、あっという間に目の前を通り過ぎてゆきました。
花の水彩画教室では、4月に桜をお手本にしたわけですが、改めて感じたことは、ソメイヨシノを描くには
どの色の絵の具を使って表したらいいのだろう、という葛藤にも近い迷いの渦に巻き込まれたことでした。
青空の下に広がる桜並木は、それはもうピンクそのものですが、花を一輪描こうとすると、そこにはピンク
の要素は見つからなくて、むしろ薄墨色と呼ぶ程のはかなげなものが、桜の形をして横たわっているのです。
桜にも様々な種類があり、原産地が台湾や中国のカンヒザクラなどは、濃いピンクですし、最近よく見かけ
るようになった河津桜も豊かな色を湛えているので、そちらをモデルにすればよかったのだわ・・・・と悔やみ
ながらも、今、日本の桜の約8割はソメイヨシノだと聞くと、やはり年に一度はチャレンジしてみたい気分に
なるのです。
オオシマザクラとエドヒガンザクラの自然交雑で誕生したとされるソメイヨシノは、成長も早いものの寿命も
40年ほど、と聞いています。ここ数年、お花見といえば、自宅からほど近い川の両岸に咲くソメイヨシノの桜
並木をカメラ片手にゆっくり鑑賞するのが常ですが、どうやらこの桜並木もそろそろ寿命を迎えているようです。
かつては桜前線を追って北へ旅したこともありましたが、今は毎年逢える地元の樹が気に入っています。
あなたには、特別気に入っているというような桜の樹、ありますか?
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