今回の「四季を巡る花とメロディ コンサート」では、曲目に添えてプロジェクターで私の水彩画を壁面に映し出すという方式が
採られました。そのために、私も比較的早い時期から準備に取りかかりました。
春のすみれ、さくら。夏はショパンの雨だれをイメージして紫陽花。秋はヴァイオリンによる童謡歌が用意されたのに合わせて
赤とんぼ、イロハカエデ、夕焼け空など。冬はチャイコフスキーの花のワルツで、クリスマスのイメージとともに花がいっぱい咲い
ている、という雰囲気を出せばOKと自分なりに考えて、日常的に描いている水彩画の集大成でいける、と思っていたのです。
ところが本番数日前になって、編集をしていたマネージャーから、「雪は踊っている」に使う絵が無いことを指摘されてしまいま
した。そう言われてみればその通りで、ドビュッシーのCDを聴きながら、急遽雪が降り積もる情景を想像する態勢に入りました。
冷静に考えれば、ずっと前から決まっていたことなのに、なぜ今になってあたふたと・・という反省しきりです。でも、絵筆を取っ
ていざ創作を始めてみると、しんしんと降り積もる雪景色がくっきりと浮かんでくるのでした。
それもそのはずで、私は雪国に生まれ育ったのでした。今まで雪景色の絵を描かなかったわけは、ただ忘れていたというそれ
だけだったことに気がつきました。
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