風 誘 讃 花    


    第 6 回  一株の紫陽花から   (2015年7月1日)   

  住まいから車で20分ぐらいの場所に、猫の額ほどの花壇を所有しています。そこに紫陽花の鉢植えを移植してから

 25年ぐらいが経つでしょうか。小さい鉢に植わっていた青い紫陽花を土ごとすぽっと抜いて移植して、はい、終了!と

 いった感じだったのです。それが毎年健やかに成長を続けて、今では両腕でも抱えきれないほどの大きさになりました。

  この季節になると、頻繁に出かけて行っては、絵のモデルになりそうな枝を剪定して持ち帰るのですが、この紫陽花

 の特徴は、一株から実にさまざまな色と形の花を生み出すという、所有者にとっては誠にありがたい性質を持っている

 のです。

  そもそも鉢植えで購入した時は、青色のまあるい、いわゆるどこにでもある感じの花だったのです。それが今では、

 9割がたガクアジサイで、ほんの少し丸い形状の紫陽花が根元の方にためらいがちに咲いているのですが、色がまた

 多彩なのです。

  水彩画教室で色の話をする時は、赤、青、黄の三原色をあげて、それぞれの色を混色したときに出来る色のことを

 二次色と呼ぶことを説明します。この理論は、中学校で教わるので、赤と青を混色して出来るのが紫ということも皆さ

 んご承知のことなのですが、たったそれだけのことで、これだけのさまざまな花に出会うことに対して、どんな称賛を表

 せばいいのかと自問してみるのですが、嬉しすぎて言葉が見つかりません。

  紫陽花の原種はガクアジサイだそうですから、ほとんど原種に戻ったと思えば形状のほうは、納得できるのですが、

 赤い色にしたければアルカリ性の土を、青にしたければ酸性をといった園芸本の説明をほとんど無視している色の

 付き方には、大歓迎で今年もあれこれ楽しませてもらっているところです。

  先月のこの欄で5月の旅がバラに導かれての花の旅、と紹介しました。その詳細です。始まりは四国、瀬戸大橋を列車で

 渡り、香川県で一泊。ホテルのテレビで地元のニュースを見ていたら、バラの話題がありました。次の日、しまなみ海道をドラ

 イブするためにレンタカーを借りる時に、近くにバラの咲いている場所がないか尋ねると、坂出市にある番の州公園を教えて

 もらいました。又、しまなみ海道を通って福山市まで行くと言うと、福山市はバラの街だからここよりずっと多くのバラに出会え

 ると言う情報を得ました。さあ、そこからバラめぐりの旅が始まったのです。

  先ずは番の州公園、ここは全長70mに及ぶ西日本最長というキャッチフレーズのツルバラ棚に出会いました。30分ほど

 スケッチしたり写真を撮ったりしてしまなみ海道を目指しました。しまなみ海道今治側最初の島、大島で降り亀老山展望公園

 から瀬戸内海の絶景を楽しみました。そして大島の案内図にあったよしうみバラ公園に寄ってみることにしたのです。

  四国最大規模のバラ公園といわれるだけあって、素晴らしいバラ園でした。終日いても飽きない公園でしたが旅程が決ま

 っていたので、後ろ髪引かれる思いで福山市に向かいました。

  福山市はバラの街そのもので、市内の至る所にバラが植えられていました。広島に向かう新幹線の時刻が迫っていたの

 で40分足らずでしたが、駅近くのバラ公園でスケッチをすることが出来ました。福山市は来年市制施行100周年を記念し

 て100万本のバラの街を目指しているそうです。(現在は約93万本で達成間近。その時、行けたらいいなぁ・・・・)

  次の日、広島平和記念公園を訪れ、そこにもバラの花壇がありました。さらに観光案内所で紹介してもらった牛田総合

 公園のバラ園でも素敵なバラに出会えました。(良いスポットなのに地元でも知ってる人が少ないバラ園でしたが・・・)

  最終日、本来は福岡市の海の中道海浜公園のバラ祭りに行く予定でしたが、長崎ハウステンボスのバラ祭りへと急遽

 変更したのでした。都合、6ヶ所のバラ園を訪れたのですが、旅に出る前に知っていたバラ園は一つもなく、本当に幾つ

 もの偶然と幸運が重なっての奇跡のようなバラめぐりの旅になったのでした。おまけの話もあるのですがそれは又後で。

出発の地、坂出市番の州公園にて                     最終地、長崎ハウステンボスにて

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