風 誘 讃 花    


    第 4 回   バ ー ド ウ イ ー ク に 添 え て (2015年5月1日)   

  ゴシキノジコは美しい小鳥です。頭の部分は瑠璃色でお腹は赤、喉のあたりに黄色のぼかしが広がっていて

 とにかく目立つんです。

  と見てきたようなことを書きましたが、私はこの鳥を知りません。ただ、世界小鳥図鑑に載っていて、こんな紹

 介がされていました。

  体長11センチほどのスズメ目の小鳥で、草の種を食べて生活しているのだと。

  アメリカはテキサス州などの人家の近くに住んでいるのですが、とても臆病で人の目に触れることはなかなか

 無いということでした。

  もしかしたら一生出会うことはないのかも知れないので、絵の中に登場してもらって、その囀りもまた想像する

 ことにしました。

  小鳥図鑑を開いたのは5月10日から始まるバードウイークもありますが、ベランダに登場した小鳥の名を調

 べるためでした。

  冬の間一日も欠けることなく訪れていたメジロたちが来なくなり、少し寂しさを感じていたある朝、メジロより一

 回り大きい鳥のつがいが、ベランダに現れました。(もちろん、ヒヨドリではありません)

  彼らが一心不乱にしていることはと見れば、大きく膨らんだ菜の花の種を啄んでいるのでした。そういえば、

 そろそろ収穫して来年に備えようと実るのを待っていた菜種だったのですが。

  まあ、去年の残り種がどっさりあるから今年は小鳥たちの朝ご飯に進呈しましょう、ということになって、夫と

 二人久し振りのバードウォッチングを楽しんだのでした。それにしても・・・と思うのです。あの鳥はいったい何と

 いう名前なのでしょうね。メジロより一回り大きくて、全体的に茶色で菜種を好んで啄む小鳥です。

  メジロがベランダに来るようになったことをきっかけに、小鳥の愛らしい姿や鳴き声を、絵の中に登場させたく

 なってきたのも最近の傾向です。そうは言ってもすぐに対応できるような器用さは、持ち合わせていないので、

 今はできるだけ身近に生息する鳥のウォッチングに努めています。

  郊外でスケッチブックを開く習慣もあるので、自然に小鳥の囀りや、時には珍しい鳥を見かける機会に恵まれ

 ます。最近も今まで聞いたことがなかった囀りが耳に飛び込んできました。

  { ピー  コロコロコロ }

 という、いかにものどかな囀りに包まれて、とても幸せな気分になりました。声の主は?と探してもまず見つかる

 はずはなく、それでもなんとかして知りたいな・・・と思っていたら、偶然テレビで声の主を紹介していました。

  それは駒鳥というスズメ目ツグミ科の小鳥で、スズメよりわずかに大きいそうです。雄の背面は暗赤褐色、顔

 から上胸は美しい橙赤色で、その下端は黒色横帯で区切られている。日本各地に分布していて夏、高山帯の

 渓流に沿って繁殖。

  { ヒーン カラカラカラ }

 と高くて美しい声で鳴く、その声が馬のいななきに似るところから、駒鳥という名が付いたというのが、広辞苑の

 説明でした。

  なーるほど、あの鳴き声は正しくは{ ヒーン カラカラカラ }だったのか、と妙に感心しながらも、その姿を見

 たのは、図鑑の中だけだったことにも思い至るのでした。

  あのきれいな囀りは、雄が雌を求めてのアピールなのだそうです。

  5月は鳥も花も木々も生命力を養って成長する時、私たちもその一員として大きく育っていきたいものですね。

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