そ よ 風 の 小 径  パート2

第 45 回  麗しきアヤメ科の花々 (2014年 8月 1日)

    花を描くうえで大切なこと、欠かせないことの一つは、今描こうとしている花の構造を理解することです。作品作りの前には、

  スケッチを繰り返すとともに、植物図鑑などを開いて、その花の生い立ちや、さまざまなエピソードを拾い集めることになります。

   今回、花菖蒲のお手本をつくるにあたっても、その作業を繰り返しました。それで知ったことなのですが、アヤメ科アヤメ属の

  この花は、とても豊かなエピソードに恵まれているのです。

   ほんの一端ですがここに紹介しましょう。

   まずアヤメ科アヤメ属の代表的な花を取り上げるとすると、ハナショウブ、カキツバタ、アヤメの三種になりますが、いずれが

 アヤメかカキツバタ、と言われるごとく、よく似ているので、区別するのに

 惑います。これをざっくり区別するならば、その花弁の基部に注目しても

 らうことになります。花弁の基部に黄斑があるのがハナショウブ、白斑が

 あり花弁がシャープなのがカキツバタ、そして花弁の基部が網目模様に

 なっているのがアヤメとなるわけです。

  もともとは野生のノハナショウブを原種として改良が重ねられたもので

 すが、その過程の中で江戸時代ほどその改良熱が高まった時代はない

 ということです。その傾向は菊や朝顔にも見られるということですから、

 その時代、いかに花好きが多かったかということが偲ばれます。

  江戸の栽培熱に影響されて、肥後と伊勢でも独自の系統が作り出さ

 れ、その歴史のままハナショウブは現在、江戸系、肥後系、伊勢系の

 三つのグループに大別されているそうです。

   それぞれの特徴を追って、いつの日かハナショウブを観賞する旅に出たいと思ったことでした。

   ちなみに都道府県の花としてあげられているものに、愛知県はカキツバタ、三重県はハナショウブとされていたのは、興味

  深いことでした。この辺の事情も更に知りたいところです。

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