そ よ 風 の 小 径  パート2

第 43 回  昼咲き月見草 (2014年 6月 1日)

   皆さんは昼咲き月見草という花を知っていますか?

  初夏のやわらかな風を浴びて薄紅色の薄い花びらを揺らしている、なんとも愛らしい野の花です。もとは外来種で、昭和

 初期に観賞用に持ち込まれたものが、旺盛な繁殖力によってすっかり日本に帰化し、今では河原や中央分離帯などに群生

 している姿が見受けられます。

  前から一度じっくり描いてみたいと思っていた私は、昨年の今頃浜名湖ガーデンパークに出掛けた折に群れて咲く一角に

 出逢って、飛び上がるほど喜んだものでした。

 さっそくカメラに収めて準備を進めたものの、昨年は目的を

果たすことができなくて、今年こそゆっくりスケッチしようと勇ん

で目的地に出掛けました。ところが、去年可愛らしい姿を惜し

みなく見せてくれた花の場所は、ヒマワリ畑に様変わりしてい

たのでした。

 花を描いているとよくこういう事態に遭遇します。いつも同じ

場所で同じ花に出逢えるとは限りません。だからこそ一期一

会のその機会を大切にしましょうということなのでしょう。

  ともかくも期日までに昼咲き月見草を描き終えて、それぞれの教室にお手本を持ち込んで冒頭の質問をしてみたところ、知

 っている人の方が少ないことが分かりました。知らない花をお手本を頼りに描くということは、あまりお勧めできることではあり

 ませんが、教室で描いたことでたまたまその花に遭遇したときに { ああ、この花だったのか } といつもは気にかけないでい

 た花の存在を知るというのも時にはいいものです。

  生徒さんの中には、確か自宅の庭にあったけれど、雑草だと思って根絶やしにしてしまったことを後悔していると告白して

 くれた人もいましたよ。

  一見雑草に見えて、つきあってみるとこのうえなく素敵な花は、このほかにもたくさんあるんですよね。

                           昼咲き月見草  追記

 上記の中で浜名湖ガーデンパークに出掛けて、昨年と同じ 場所で昼咲き月見草に出逢えなかったことを嘆いたと記し

 ました。その一ヶ月ほど後に、再びガーデンパークに行く機会を得たところ、昨年とは違う場所でまた素敵な昼咲き月見

 草の群生に出逢うことができましたので、どうしてもお知らせしたくなりました。

 昨年は北入場ゲート手前に群生していたのですが、そこはヒマワリが植えられていました。今年は園内のほぼ中央部

 の北端にある花木園の一角、現在はこれといった花が咲いていないエリアなので、行く人もほとんどいないような場所

 です。浜名湖ガーデンパークの顔といえば、印象派庭園に広がるバラの園。そのことに関しては異論はないのですが、

 バラの園とはまた違った意味で感動を与えてくれる素敵な場所です。

 原産地は北アメリカの中南部。遠方はるばる日本の土地に根付いてくれた薄桃色の花は、これからも折に触れて私の

 スケッチブックに登場することでしょう。

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