そ よ 風 の 小 径  パート2

第 3 8 回  絵本を贈る (2014年 1月 1日)

   知り合いの娘さんが赤ちゃんを授かったというので、クリスマスプレゼントに絵本を贈ろうと思い立ちました。さっそく本屋さんに

  足を運んで何冊か選びました。私はこの瞬間が大好きだって限られた時間ではあるけれど、選びきるまでの間は本屋さんに

  並んでいる夥しい本全てが選択の対象になるわけで、いわばぜーんぶ ひ ・ と ・ り ・ じ ・ め というわけですからね。

  ここに来る前にあらかじめ子育て真っ只中の次女に聞いてみました。

 「今、一番人気の絵本は何?」

 答えは、やはりロングセラーになっている絵本が喜ばれるのではないか

しら、という返事でした。確かに、私が子育ての頃にお世話になった本が

今も健在で書店の本棚に陳列していましたし、新しい作家が次々登場して

いる絵本界の実情をわくわくしながらこの目に収めたことでした。

 子育ての真っ最中に読み聞かせで一番盛り上がった絵本のひとつは、

中川季枝子さんと山脇百合子さん姉妹による「ぐりとぐら」だったと思いま

す。赤い服と青い服を着たオレンジ色の野ねずみ兄弟が織りなす世界に

ページをめくるごとに引き込まれていった記憶は、いまだに昨日のことの

ように思い出されます。

   散歩の途中で大きな卵を見つけた野ねずみのぐりとぐらが、大奮闘の末にフライパンでカステラを焼くお話しです。焼いている

  途中でよい匂いがそこら中に立ちこめて、いろいろな動物が集まってくるのです。そのころになると、読者の周囲にもカステラの

  ちょっと焦げた感じの美味しい匂いが立ちこめて大合唱になるのでした。

  「この世でいちばん好きなのは、お料理すること食べること  ぐりぐら  ぐりぐら 

 
 子供たちと一緒に掛け合いながら楽しい時間を過ごし、絵本には本当にすごい力があるのだと実感したものです。

  作者の中川さんは、保育士として働きながら創作活動をしていたそうです。やはり子育ての現場で働いた目線が生かされている

 のでしょう。

  新米ママに選んだプレゼントの絵本の中に、そっとこの「ぐりとぐら」をしのばせたのは、そんな理由からでした。

  どうか幸せな子育てが続きますように・・・・・ そんな思いとともに届けようと思います。明日。

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