そ よ 風 の 小 径  パート2

第 3 6 回  バ ラ の お 手 本 (2013年 11月 1日)

   この秋、花の水彩画教室名古屋教室において、新入生を多くお迎えすることになりました。そこで自己紹介も兼ねて

  各人に好きな花の名前を挙げてもらいましたら、断然バラが一位を占めるに至りました。そんなこともあって、このごろ

  バラのお手本が増えています。

   いずれにしてもバラは、花の基本である構造的な要素と色彩の豊かさでバランスがとれていて、絵のお手本には最

  適な題材だと思うからです。そうはいってもいざデッサンを始めると、その複雑な形に突き当たります。最初はなかな

  か簡単にはいかないものですが、繰り返し描くことでなんとか理想に近づきたいと願っているところです。

  本来のバラの季節は5月ですが、四季咲きも多く、それを一鉢持って

いると年中蕾をつけて楽しませてくれます。私もレデイブラッシュと命名さ

れた愛らしいソフトピンクの八重咲きの鉢に助けられて、随分描かせても

らいました。

 水彩画教室のある日にいい具合に花芽を持ったときなど、絵のモデル

になってもらうために紙に包んで教室に持ち込むこともあるのですが、花

好きな人の集まりでもある水彩画教室のことです。それをもらって帰った

人から、挿し木したら育って花が咲きましたよ、などという嬉しい報告をい

ただいたりすることもしばしばです。もっとも私自身は栽培は不得手なの

で、まるで手品を見ているような気分ですが・・・

  このごろは、気に入ったバラ園を巡り歩いてはスケッチとともに写真に納めてきて、それを手がかりにしながら絵作りに

 励むというようなこともしています。

  いずれにしても、見たままを絵にすることはできないことで、そこにはなにがしかの想像力が必要になります。具体的には、

 現実の花より誇張して描くとかいうことです。そんなとき大いに役立っているのが、花友からいただいた{バラ水}です。バラ

 水とは、たっぷりのバラの花びらを水と一緒に鍋に入れて煮立たせた後に濾過したもの。バラに含まれる芳香な香りと成分

 が、水に溶け込んでいるフローラルウォーターのこと。

  花友がそれを手に入れたのは、かれこれ8年前の愛知万博の会場だったというのですが、その香りは今も健在で、複雑

 なバラの花びらを描くのに疲れたときなど、そっとバラ水の入った小瓶の蓋をあけては、その馥郁たる香りに癒されて { もう

 少し頑張ろうっと } と自分を励ましています。

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