そ よ 風 の 小 径  パート2

第27回  ラ ジ オ と 共 に  (2013年 2月 1日)

    日常的に絵を描く習慣を持っている人は、どんなふうにして孤独とも言えるこの時間を、過ごしているのでしょうか。

    勿論、好きでしていることですから、それはそれで楽しいのですが、ときに人恋しくなることがあります。好きな音楽を

   聴きながら、というのが私の御同輩の間では、圧倒的に多い答えでした。

    私もその時々に応じてCDをかけるのですが、どんなに気に入った音色もいつかは飽きるというのは、仕方がないの

   です。そんなわけで、いつしかラジオのように偶然に流れてくる音楽に耳を傾けながら描く、というシチュエーションが、

   出来上がりました。経験してみると、これがなかなか良いのです。何がよいといって、その番組を担当しているパーソ

   ナリティの話題の豊かさです。

  ここまで喋ったのですから、ついでにお薦めのラジオ番組を幾つか紹介しま

 すと、金曜午後3時スタートの「ロックンローラー近田晴夫の歌謡曲って何だ」

 と土曜午後3時から始まる「ぼやき川柳」、いずれもNHK第1放送です。理由

 はとにかく楽しい、それに尽きます。

  ある週末の夜更けに、若者向けの番組に退屈して、なにげなくNHK第2放

 送を回したら、思いがけずNHK青山教室で録音されたカルチャーセンター

 講師の興味深い短歌の話を聞くことができ、得した気分になった、そんなこと

 もありましたっけ。勿論、民放も面白さでは負けていませんで、大笑いをして

 いると隣の部屋で碁盤に向かっていた夫が 「何だ、どうした?」 と覗きにき

 ます。そんな時間をたくさんくれた一人、小沢昭一さんが昨年の暮れに亡くな

 りました。享年83才でした。

   「小沢昭一の小沢昭一的こころ」 と題して1万回を超える長寿番組を担当されてきました。夕暮れのその時間になると、

  チャンネルをCBCに合わせて、軽妙な話術を楽しんだものです。時々得意のハーモニカ演奏を織り込んでのお話しが、今

  も耳に残っています。味の濃さと繊細さが同居した語り口でした。小沢さん、心に残るお話しをたくさんたくさんありがとうご

  ざいました。

   新たにスタートしたこの年、今年もまたラジオを傍らに置いて、さまざまな絵を描いていきたいと思っています。

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