そ よ 風 の 小 径  パート2

第11回  ル リ マ ツ リ  (2011年 10月 1日)

   今回紹介するルリマツリについて、この花のことを記述した本は、私のまわりにはほとんど無くて、ただ小さな水彩画の

  画集のすみに二〜三行こんなことが書かれているだけです。

   { イソマツ科の多年草。原産は南アフリカ。育てやすく日当たりの良い場所を好みます。

     非耐寒性ですが暖地なら越冬し、何度も花を咲かせてくれます。青色の花が爽やかです。}

   端的に紹介されているように、とても育てやすい花です。何年か前に鉢花を購入し、ベランダで育ててきました。いつの

  まにかその時の何倍もの大きさに成長し、五月頃から秋に至まで次々と瑠璃色の可愛い花をつけます。興味深いのは

  その咲き方です。それこそパアッと咲いては一段落し、もう終わったのかしらと思う間もなく再び花芽を枝の先端一杯に

  つけては一斉に咲き出すのです。

  ルリマツリのマツリがどんな字なのかは、想像するしかあり

 ませんが、お祭り騒ぎでパッと咲くというふうに考えるとまさに

 瑠璃祭という呼び名がぴったりです。

  今年も満開の花の時を何度も楽しませてくれましたが、九月

 の半ばにちょうど見頃なったという時に15号台風の襲来です。

  強風に吹き飛ばされないようにと、ベランダの草花の鉢は前

 もって家の中に避難させるのですが、ルリマツリに至っては、

 ちょっとやそっとで運び込めるほどの大きさではなかったので

 私は早々と諦めたのでした。

  それを夫が大奮闘の末に家の中に移動させることに成功したものだから、いつもと違うシチュエーションでルリマツリを

 鑑賞することになりました。

  もともと好きなタイプの花ではあったのですが、これほど素敵だとは、思ってもいませんでした。猛り狂う台風の風音を

 背後に聞きながら花の絵を描くのに夢中でいる姿、ちょっと想像していただけますか?

  今年も台風の甚大な被害を多くの人々と場所に及ぼしたわけで、改めて自然の持つエネルギーの凄さと、それに対し

 て非力な我が身を思い知らされたことでした。だからこそ、日々生かされていることの尊さに思いが及ぶのかもしれませ

 ん。その時に描いた絵は今、花の水彩画教室のお手本になって教室の机の上に並べられています。

  絵の傍らには花瓶を用意して、少しですがベランダで咲いたルリマツリの花を飾っています。講座が終了した後、希望

 する人に持ち帰ってもらって、挿し木するように勧めています。ルリマツリの青い茂みが、あっちでもこっちでも見られる

 ようになるといいな・・・・。そんなことを想像しながら。

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