そ よ 風 の 小 径  パート2

第8回  蝸牛(カタツムリ)  (2011年 6月 26日)

   雨上がりの午後、紫陽花をスケッチしに公園へ出掛けました。公園の角にある薄暗い藪で殻の直径が3センチは

  あろうかという蝸牛を見つけ、描きはじめたところで藪蚊の襲来を受けてしまいました。

   もう少しじっくりと描いてみたかったので、蝸牛を拉致して帰宅。ベランダの紫陽花の鉢植えに移していざスケッチ

  再開となりました。

   子供の頃、“でんでんむしむし、カタツムリ・・”などと歌いながら、長く伸びた触角を触って遊んだ記憶は、おぼろ

  げに覚えていますが、これ程まじまじと見たのは初めてです。

  巻き貝のように見事な渦巻き状をした殻(蝸牛にとっては

 マイホーム)を背負って上手に身をくねらせては、次の枝に

 移っていく姿はなかなかの見物です。

  蝸牛はのろまな生物という認識は、観察を始めてわずか

 な間に払拭されました。

  むしろ、自宅に連れてきてから一日が過ぎようというのに

 さっぱりスケッチがはかどらない私の歩みの遅さを嘆くばか

 りです。

  今描きかけている紫陽花の葉の上にあなたを描いたらすぐ、元の場所に帰してあげるから、それまでもう少し辛抱

 してね、蝸牛君・・・・。


    蝸牛、ミニ知識(広辞苑より)

   らせん形の殻の大部分は右巻。頭部の2対の触角のうち、長い方の先端にある眼で明暗を判別する。

   雌雄同体で卵生。湿気の多い時、または夜、樹や草にはい上がって若葉などを食う。

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