そ よ 風 の 小 径  パート2

第5回  ホトケノザに寄せて  (2011年 3月 20日)

   心がどうかしてしまいそうな日々が続いています。

   3月11日に発生した地震、大津波、そして東京電力福島第一原発での爆発事故と予測をはるかに超えた惨事が

  次々とメディアを通して放送されています。

   こんな時にいくら仕事とはいってもにこやかに 「今日も季節の花を描きましょう」 などと言っていてよいのだろうか・・・

  だからといって水彩画教室を休むわけにもいきませんし・・・・

   真冬並みの寒波襲来の朝、名古屋教室へ行くために豊橋駅に向かいました。駅の前で愛知大学の学生が集団で

  災害地への募金を募っているのに出会いました。冷たい北風が吹き付ける場所で  「ご協力をお願いしま〜す」 と

  叫んでいます。

   多くの人が足を止めて募金箱に歩み寄っている姿が見られました。心からありがたいなあと思いました。これで少し

  は心が軽くなれると、ほっとしながら私も募金に協力したことでした。

   「頑張って、私たちの思いを被災地に伝えて下さい」 

   そんな思いを現金と共に募金箱に収めた人は、たくさんいたことでしょう。

 名古屋教室に着くと、友達との旅行の予定があるから今日

は休むといっていた人が、出席しています。

 「旅行だったんじゃないの?」と聞くと

 「その筈だったのだけれど、今の状況の中で旅をしても楽し

くなんかなれそうもないから、取り止めたの」だそうです。

 本当にそうですね。被災された人々の痛みを分かち合うこ

とも私たちにできるひとつかも知れません。

 この日の水彩画教室のお手本に用意してきたのは、ホトケ

ノザ。昨日、近くの空き地の日だまりで辺りをピンクに染めて

元気に咲いていたのです。  

  あと一ヶ月もすれば、東北の地にも咲き出す野の花です。どうかこの花が北国に咲き出す頃には、復興への新たな

 歩みが始まり、力強く進んでいますように。

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