そ よ 風 の 小 径  パート2

第3回  詩集 「 くじけないで 」 に寄せて  (2011年 1月 23日)

  昨年末から新年にかけて、気になっている詩集がありました。

  テレビやラジオで報道されている、高齢の女性が書いた詩が多くの人のあいだで、話題になっているというのです。

  その本を読んだことで励まされたとか、勇気をもらったとか、そんな感想が多数寄せられているというのでした。新聞

 広告には、その本の傍らに、品のいいご婦人の写真が添えられていて、こちらに向かって微笑んでいます。その人が

 当年とって99歳になるという著者、柴田トヨさんでした。

  いつか読んでみたいと心の片隅で思いながら、そのままになっていたのですが、期せずして今年最初の水彩画教室

 で、ご対面となったのでした。

  その日の午後1時から始まる教室には、開始30分も前から次々と人が集まり、新年のご挨拶が繰り返されていまし

 た。

 ふと気づくと、浜松から豊橋教室に通っているAさんのまわりに

人だかりがしているので、私も後ろからのぞき込んでみたのです。

 その中心には今話題の詩集「くじけないで」が置かれていて、持

ち主のAさんによるミニ朗読が始まりました。

   風が硝子戸を叩くので 中に入れてあげた

   そしたら 陽射しまで 入ってきて 三人でおしゃべり

そんな出だしで始まる詩は、風と陽射しとおばあちゃんの楽しげな

会話へと続きます。  

 読み終わったAさんは少し照れながら

 「この詩を読んだあと、私も同じことをしてみたのよ」 と言って微笑みました。

 その言葉を受けるようにSさんが、

 「実は私もこのごろ、思ったことを詩にして書き留めているの」 と告白。

 「その詩に絵を添えて見せてね」 と私。

 窓の外は寒風が吹き荒んでいるのですが、水彩画教室の中は春風のような言葉が飛び交っていました。

 その後、間もなく私もその詩集を買い求めました。ゆっくりと柴田トヨさんの言葉を味わいたくて・・・・。

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