エッセイの部屋 (2004年5月)
第20回・・・ (作品展余話 )
4月の声を聞いて間もなくスタートした作品展も、5月2日をもって終了しました。この開催に向けてまず準備 したのはベランダに春の花苗を植えることでした。アネモネ、三色スミレ、ポピー、ラナンキュラスなどでしたが 限られたスペースの中で、にわか仕立ての花園に次々と元気な花が咲き出しました。その花たちのエネルギー に助けられて描き続けることができた早春の日々がありました。 とりわけピンク色のアネモネが盛んに 「ねえ、ねえ描いてちょうだい。」 と誘ってくるものだから、どうしても アネモネの絵が多くなってしまいました。(ここだけの話、出展したアネモネの絵に「芥子」と名を付けてしまい ましたので、不思議に思われた方もいらしたのではと思います。)
開催を目前に控えた早朝、近所の公園に桜を描きに出掛けました。もうここまで来たのだから作品に しようなどと思わずに、ただ無心に季節の彩りと戯れたくてスケッチを繰り返したのです。結果はこの春 描いた中で一番気に入った出来具合となりました。思い入れの入ったその絵は、定年退職したばかりの 素敵な女性が購入してくれました。 「今まで働いた私自身へのご褒美にするの。」 という言葉と共に・・・・。 季節は巡り、初夏を感じさせる風が吹きわたっています。 紫陽花が色づくまでのしばらくの間は、様々な緑を楽しむことにしましょう。