エッセイ 第9回(2003.2)・・・予期せぬトラブル
新しい年が明け、3月には個展を開く、頑張るぞ!と思ったのですが予期せぬトラブルが
我が身に起こりました。実は昨年の秋頃から、気持ちよく絵が描けるようになって、いつも
より余分に筆を持っていました。そうなると腕の力もつけなくては、などという思いにかられ
てダンベル体操などを取り入れてちょっと無理してしまったのが裏目に出てしまった様なの
です。
右ひじあたりの鈍い痛みを自覚した時は、軽い筋肉痛だろうと湿布で乗り切ろうとしました。
でもいつまでも去らない痛みに、どうやら筋肉痛とは違うと気が付きました。そこで、専門医
の診断が必要という判断に至り、ようやく近くの病院の門をくぐったのは年も明けた1月中旬
のことでした。
痛めているのは筋肉ではなくて筋なのだから、湿布では治らないという診断をいただきまし
て、以来電気治療と超音波治療を続けています。
「当分絵は描かないほうがいい」 と言うアドバイスに思わず
「そ、それは困ります。実は間もなく個展を開催する予定で準備を進めているのです。」
「わかりました。ではインターバルを取りながら描くことを続けましょう。でも個展が終わったら
ある程度の期間、腕を休めるのがこれからの活動をしていくうえで大切です。」
というわけで、治療を続けながらの創作活動となりました。
一番新しい作品をもって春の個展に備えたかったのですが、それは叶わぬこととなりまし
た。でも痛めた右腕をさすりながら、これまでの作品ファイルをめくってみると、
「私、この絵好き!!」 と思える絵がいくつもあるのです。
そして思うように描けない今だからこそかもしれませんが、「こんなふうに季節と追いかけ
っこをしながら花の絵を描けるのはなんて幸せなことだろう。」と心からそう思えるのです。
いくら描いても描ききれないくらい素敵な花が咲きそろう季節に、好きなだけ絵筆が持て
ないのは、残念ですが一生懸命働いてくれた右腕に休息が必要な今は、ただ花の美しさ
を愛でることに専念することに決めましょう。
(もっともこの決心がいつまで続くか定かではありませんが・・・)