新エッセイの部屋

 第 20 回(H19年2月)  蕗 の 薹 

  2月12日、三連休最後の日、朝7時のNHKニュースでテレビ画面一杯に蕗の薹が映し出されました。あっと思って

 見ていると、続いてこんなコメントが流れました。

 「今、豊橋市の総合動植物公園では蕗の薹が顔を出しています。」

 豊橋の総合動植物公園は「のんほいパーク」とも呼ばれ、我家から車で20分足らずの所にあります。バラの季節には、

 何度も訪れる動植物園ですが、子供が成長した今は、滅多に足を運ぶこともなくなりました。

  けれども、そのニュースを見るや否や、これはどうしても行か

なければ・・と思い立ち、出掛けることになりました。

 用意する物はカメラとスケッチブック、それに寒さ対策の襟巻

や手袋。

 郊外にある動植物園は、風は冷たかったですが連休最後の日

ということもあってか、子供達で賑わっていました。我家の三人の

子供達もかつてはよくお世話になった場所です。とりわけ長男が

幼い頃、恐竜が大好きな時代がありました。その時を同じくして

動植物公園内に、恐竜の宝庫ともいうべき自然史博物館が完成

したのです。そこに出掛けるときの息子の喜びようといったらあり

ません。ある時期はほとんど毎週出掛けていたことを今更ながら

懐かしく思い出しています。

 その動植物園内に蕗の薹が顔を出したなら、これはもう会いに

行くしかありません。

  蕗の薹といえば、ここ数十年はスーパーに置いてあるお料理用の物しか見かけることがありませんでした。天ぷらなど

 にして故郷の味を懐かしむのも、いいものですが一度は絵にしてみたい素材ではありました。

  そんなわけですから、たまたまテレビから流れてきた情報は、まさに朗報でした。

    長実雛罌粟  { ナガミヒナゲシ }

  いつの頃からでしょう、春の盛りに径の脇に愛らしい朱色のケシの花を見かけるようになりました。

 その花は、歳を重ねるごとに周囲に広がりまして、あちこちで見ることができます。

 いわゆる外来種で、ヨーロッパ原産の1年草だそうです。名前の由来は、3センチほどもある長い実をつけること

 からでしょうか。

  可憐で美しい花なのでこの頃では、プランターに植えて軒下で楽しんでいる家庭も見受けられますが、朝に咲き、

 夕方には散ってしまうという短命な花でもあります。

  この花が咲き出すと、少しばかり早起きをして、咲いている場所までスケッチに出掛けるというのが私の日課に

 なるのです。

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