旧筧家宿店
Kakei inn



福島市指定有形文化財
旧所在地・福島市上鳥渡字観音寺14番地
建築年代・江戸末期~明治10年代(19世紀後半)
面積・109.64㎡(29.80坪)
構造・木造 寄棟造 中二階建 茅葺
復原年・昭和57年(1982)3月
旧筧家宿店は、旧会津街道と旧米沢街道の分岐点に建っていました。二階座敷が旅人宿として宿泊に利用されたと思われます。旧筧家は明治10年代から大正中期まで旅人宿として営業しましたが、万世大路の開通、奥羽本線・岩越鉄道(のちの磐越西線)の敷設により宿泊客が激減し、宿を止めたといわれます。解体された主屋は江戸時代末に建築され、主屋の居住スペース増加及び宿店の開業のため明治初年から10年代にかけて宿店部が増築されました。下階奥2室は主屋の座敷として使用され、中2階を中心に宿が営まれていました。旅人宿の開業に当たり自宅主屋の座敷を使用する発想はこれまでこの地方の宿店の形態を継承するものです。また主屋部分に鍵形の宿店を配した形態は、この時期のこの地方の宿駅の宿店には見当たりません。一階の「みせ」部分の蔀戸、二階外壁の漆喰による「商人宿」の鏝絵文字、襖絵などに宿店としての面影が垣間見られます。(福島市民家園発行パンフレット及び現地案内看板を一部改訂)


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