久場家住宅
Kuba



 
登録有形文化財 (平成23年7月25日登録)
沖縄県沖縄市胡屋5-831 (移築)
旧所在地・沖縄県沖縄市室川
建築年代/大正13年
登録範囲/主屋・ヒンプン
公開状況/非公開

昭和60年に「沖縄こどもの国」の中に設けられた「沖縄市立ふるさと園」に移築された農家建築である。桁行15mにも及び、沖縄に残る民家建築としてはかなり長大な建物で、床を構える1番座、仏壇を設ける2番座、台所に続く3番座が横一列に並ぶ典型的な琉球民家の間取りである。屋敷入口の目隠し的役割を果たす屏風様の石垣(ヒンプン)も当住宅に在ったものを一緒に移築したものであるが、主屋西側の離れ屋は新築、東側のマチフール(厠兼豚小屋)は他家のものである。


沖縄こども園内に併設される沖縄市立ふるさと園に移築されている農家建築である。そもそもは沖縄市室川に所在していたものを昭和60年に移築したもので、園内にある複数の構造物のうち、主屋とヒンプン(屏風石)が旧久場家のものである。園内には平田家のマチフール(厠兼豚小屋)もあり、当住宅とともに国の有形文化財に登録されている。主屋の東側に建てられている離れ屋は、現代の新しい建物である。
桁行15m、梁間8.3mの沖縄民家としては規模の大きなもので、南面と東面に雨端(アマハジ)と呼ぶ軒を出して庇を深く下ろした土縁を設けている。現在、我々が目にする沖縄の民家は明治30年代の琉球処分による封建制度の崩壊以後に建てられたものが多く、特に庶民の住宅としては、それまでは草葺は当たり前で、堀立小屋のような構造の建物が大半であったという。当住宅は大正13年の建築とされているが、柱を礎石の上に立て、赤瓦を葺き、1番座、2番座、3番座と座敷を並列させる方式は、封建時代には士族住宅にのみ許された建前で、財を蓄積した庶民が長年抱いていた憧憬を具現化したものと云えるであろう。


一覧のページに戻る