森家住宅
 Mori



鹿児島県指定文化財 (平成20年4月22日指定)
鹿児島県南九州市知覧町郡6354
建築年代/江戸時代(18世紀中頃)
用途区分/郷士
指定範囲/オモテ・蔵

重伝建地区に選定される知覧の武家屋敷集落に所在する郷士住居である。知覧は薩摩藩領内に分散配置された外城のうちの1つで、佐多氏が私領主として代々治めた地である。当家は佐多氏の家老職を務めた家柄で、住宅は中世の城跡である亀甲城に最も近い西麓に所在する。そもそもはオモテ(居室棟)とナカエ(台所棟)を別棟とし、これを直角の棟で繋ぐいわゆる「知覧型」の住居であったが、現在はナカエが取り除かれ、屋根も茅葺から桟瓦葺に改められるなど単調な外観と化している。
池泉観賞式の庭園は国の名勝に指定されている。建物は寛保初年(1741)に建てられたとの見方もある。
8畳の座敷、4畳の次の間、8畳の間と表側に3室を並べ、各部屋の境には意匠の優れた欄間が入る。
座敷と次の間の境には襖を立てるが、次の間と8畳の間の境には日常は鴨居のみで敷居がなく、12畳の広間として使用している。しかし必要に応じて敷居を立て、部屋を分けられるようになっている。
オモテ正面には男玄関、女玄関を設け、男尊女卑の薩摩風を演出しているが、いずれの玄関から上がっても8畳の間に上がるようになっており、あまり意味をなさない。この玄関は後補の可能性もあり、むしろ当初はオモテには男玄関のみがあり、失われたナカエに女玄関があったと考える方が素直かもしれない。

 

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