阪本家住宅
Sakamoto



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宮崎市指定文化財 (平成12年5月23日指定)
宮崎県宮崎市佐土原町大字上田島1601-2
宮崎市の北郊の町・佐土原は戦国の世が終焉してから明治維新に至るまで小藩ながらも一貫して領主・島津家によって統治された土地である。
しかし古い城下町であり、近代化の開発の波さえも避けて通るような小地方都市であるにも関わらず、その在りし日の姿を全くと云ってよいほどに留めてはいない。
町場の中でも新町に属する区域に所在する当住宅も文化財に指定されてはいるものの決して古い建物ではなく、明治38年の建築である。
当家は江戸時代より味噌・醤油醸造業を代々営み、明治期には刻煙草の製造販売も手掛けた商家である。敷地の背後には味噌醤油の醸造蔵が近年まで残されていたらしいが、現在は取り壊されて主屋だけとなっている。
佐土原の町家の間口は通常3間を基本とするところ、当住宅は9間もあり城下でも最大規模を誇った町家であるが、残念なことに決して上質な造りの建築ではない。室内の造作については至って平凡なもので、二階建の上階に至っては物置としての要素が大きく、転用材を用いること夥しく壁面も荒塗りのまま仕上げを施されていないままである。
一方、外観については屋根の降り棟に鐘旭や御多福を施した鬼瓦を用いたり、軒瓦には屋号のカクヘイを記した□形の変形瓦を用いるなど僅かながらも見所がある。


 

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