徳富家住宅
Tokutomi



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熊本県指定文化財 (徳富蘇峰・蘆花生家)
熊本県水俣市浜町2-6-5

当家は水俣市のほぼ中心に位置する町家である。徳富蘇峰・蘆花兄弟の生家として著名であるが、実は県下でも最古の町家建築でもある。徳富兄弟の業績について少し触れておくと、兄・蘇峰はジャーナリストとして国民新聞を創刊し、日本言論界に不動の地位を築いた人物である。一方、弟の蘆花は不如帰の作者として文学界に一派を成した。いずれも活躍した時期は明治時代である。
現在残されている生家は、妻入と平入の主屋二棟が表通りに面して並び建っているが、以前は別々に所有される家々であった。徳富兄弟の生家としては妻入側の建物が該当し、寛政2年(1790)建築で年代的にもこちらが古いものである。ちなみに平入側の建物は明治22年の築造である。
当家の特徴に建築材として「タブノキ」が多用されていることが挙げられる。「タブノキ」はクセが強く、本来は舟などの材料に用いられるクスノキ科の大木で、相当年数をかけてクセを取り除く必要があり、あまり建築材として用いられることはないそうだ。但し、潮風に強く、耐火性にも優れているという特性をもつため、じっくりと時間をかけて造作されたことが想像される。その意味では、当家が代々郷士として近隣の惣庄屋や代官を務めた裕福な家柄であったことが関係していると云えるのかも知れない。



 

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