岡本家住宅
Okamoto



登録有形文化財 (平成11年8月23日登録) 
熊本県菊池郡大津町森256

阿蘇の伏流水が、この地で沸き出で豊かな川になる。川は豊かな森を育む。
地名である「森」の名のとおり、集落全体が森で覆われ、木漏れ日が眩しい。
蝉の鳴き声がうるさいぐらいの夏の日がとても似合いそうな懐かしい感じのする集落である。そんな集落の中心に当家は所在する。
中世熊本の領主であった大友氏が滅び、江戸時代初頭に当地を代わって支配することとなった細川家は、帰農したものの穏然たる在地勢力を保ち続けた旧大友家家臣団に対し、政策的に在郷御家人としての地位を与えることで自らの傘下に組み込み、藩内の不安材料の払拭を図ろうとした。
当家もそうした在郷御家人として古くからこの地に根を下ろした旧家ではあるが、江戸時代末期には御留守居、中小姓格の家格を誇るまでに累進を重ねた優家でもある。四脚門を正面に構える屋敷の様子や主屋には大きな式台玄関を備えるなど集落内で特別な存在であったであろうことは容易に想像がつく。
屋敷内に足を踏み入れると、古き良き時代が未だ続いているかのような錯覚に陥らせてくれる。時がそのまま止まったような良い家である。

阿蘇外輪山の西麓にある大津の町は熊本市内を潤す白川の扇状地として拓け、豊後街道の宿駅として栄えた場所である。当住宅は、その大津宿より東南約3kmの森集落に所在する在郷武家住宅である。そもそも当家は中世熊本の領主・大友氏の家臣であったと伝え、江戸時代に細川家の治世となってからは在郷御家人として遇され、幕末には御留守居、中小姓格にまで累進を重ねたという。屋敷正面に四脚門を構え、主屋には式台玄関を備えるなど特別な存在であったことは容易に想像がつく。

森集落はその名の通り鬱蒼とした森に集落全体が囲われるかのようなところで、一歩足を踏み入れると中世に戻ったような感覚に囚われる不思議な所である


 

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