宮崎家住宅
Miyazaki



熊本県指定文化財
熊本県荒尾市荒尾949-1

当家は荒尾市の中心部に近い閑静な住宅街の一画に所在しているが、一般に「宮崎兄弟の生家」として公開される民家である。
宮崎兄弟と聞いても地元の方でもよほどの歴史好きでないと一体誰のことやら判らないと思うが、明治時代の思想家・活動家として自由民権運動に奔走した宮崎八郎・民蔵・弥蔵・寅蔵兄弟のことである。彼らの活動は時代の先駆けとなすもので、当時の一部地主に土地が集約しつつあった時代背景にあって土地の再配分の考え方を唱えたり、清朝末期の中国にあって革命の父・孫文を助けるなど、活躍の舞台は国内に止まらなかった。
志半ばで倒れたため、後世に大きく名を残すことはなかったが、もっと知られても良い人物たちである。
ところで宮崎家は江戸時代初期に佐賀から当地に移住したのち、代々肥後細川家に仕えた郷士で、一領一疋といわれる肥後藩独特の地方支配制度の末端で地方官僚の任に当たった家柄である。明治期には山林60町歩、田畑50町歩ほどを所有する地主でもあった。
屋敷はそうした家柄を反映して質素ながらも格式高いものであり、小さいながらも玄関も備える。広大な敷地にゆったりと建てられた主屋は、著名人の生家としての価値だけでなく、建物自体がよい雰囲気のものである。
敷地内には長大な土蔵を改造して宮崎兄弟の功績を紹介する資料館が併設されている。内容も結構充実しているので時が経つのを忘れてしまうほどである。


 

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