松田家住宅
Matsuda



 
無指定・公開
熊本県八代郡泉村樅木160-1(平家の里内)

当家は秘境・五家荘観光の目玉的施設である「平家の里」内に移築・保存されている一般的な農家建築である。行政が手掛けるこの手の施設としては珍しく不十分で、当家に関する詳細な解説書きがどこにも無いため由緒来歴は全く不明である。園内の受付で資料を要求しても「無い」の一言。少しひどい。
ただ、そうした行政の不手際を除けば当家は山間部に所在する独特の平面構成から成る興味深い民家で、なかなか良いものを残してくれたものである。小振りながらも味わい深いものが有る。
現在地に当家が移築される前に建っていた場所は定かではないが、恐らく周辺の山間部に所在していたことは間違いない。先項で紹介した緒方家、左座家といった村指定文化財民家と共通する点が多々あるからである。すなわち土間の構成や座敷縁側を廻る欄間の多用等である。また当家に関してもっとも興味深い点が大戸口から屋内に入ってすぐに区画された空間の様子である。通常は「タタキ」土間となるはずであるが、板敷きの式台のように造作されている。まるで武家住宅にみられる玄関のようであるが、少々異なる。
「平家の里」内には、当家以外にも伊藤家住宅が食事処として保存・活用されている。かなり辺鄙な場所ではあるが、ゆったりとした時間が過ごせること請け合いである。



(参考)
園内に遊びに来ていた地元の古老に聞くところによると、当住宅は泉村葉木集落からの移築で、約160年前の江戸末期の建物とのこと。ちなみに食事処となっている伊藤家住宅は泉村樅木集落からの移築で、やはり160年前の建物とのことである。


 

一覧のページに戻る