桑原家住宅
Kuwahara



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国指定重要文化財 (昭和48年2月23日指定)
熊本県球磨郡錦町一武狩政3195

人吉を中心に球磨川流域一帯を治めた藩主・相良家は鎌倉時代に地頭としてこの地に土着して以来、紆余曲折を経ながらも明治維新の廃藩まで連綿と続いた名家である。小藩ながらもその長い歴史は幕藩体制下に数ある大名家の中でも珍しい存在である。そうした背景を意識するわけではないが、旧領内は何かしら古く土俗的な雰囲気を感じる土地柄である。桑原家の所在する周辺は田園の広がる肥沃な土地柄で、中世以来の古寺が点在し早くから開けた土地であることを教えてくれる、と同時に不思議な違和感を覚える。言葉では説明しづらい中世的なモノが辺りを包んでいるような。
住宅は曲屋で南方の民家としては規模の大きなものである。正面には小振りながら式台を構える。この家で特徴的なのは、部屋が横一列に並んでいることである。通常の民家では「田の字型」という言葉に代表されるように、部屋が縦横に並ぶ形態が一般的であるが、例外的に山間部などでは敷地が広く取れない関係上、横一列に並ぶことがある。しかし当家が所在するような平野部においては珍しい現象である。
また全体的に間取り構成も変わっている。地域的に独自の発展を遂げたという解説が相応しいと思っている。

 

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