草野家住宅



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国指定重要文化財 (平成21年12月8日指定)
大分県日田市豆田町127

日田は筑後川上流部の山間部に拓けた盆地で、ほぼ九州の中央部に位置する。
その名は天領地として著名であるが、単なる天領地ではなく九州地方各地に点在する天領地を統括する代官所が置かれた町として、政治的・経済的に大いに繁栄した。
日田に集まる物資や金銭は膨大な量に上ったことは容易に推測がつくところではあるが、中でも公金を扱う「掛屋」と呼ばれる金融関連の商人たちは、豊富な資金量と幕府直轄の天領地にあるという信用性から、その名を天下に轟かせた。
草野家もそうした掛屋の一翼を担った家で、日田の町中でも比較的古い風情が残る豆田町の一画に当家は所在する。町の西端を南北に貫く道筋が鍵型に屈折する場所に海鼠壁の妻面を見せて当家は屋敷を構える。当然大きな屋敷である。
大分県内では最古の町家建築であり、若干地味な建前ではある。


【文化庁報道発表】
草野家住宅は、日田市豆田町伝統的建造物群保存地区に所在する商家建築で、店舗や仏間、座敷などからなる主屋は、江戸後期から末期にかけて建築され、主屋の後方には土蔵が建ち並んでいる。主屋の表側は外部を漆喰塗大壁とし重厚な外観を呈しているが、裏側の座敷や仏間などは数寄屋風の意匠を基調としており、瀟洒な座敷飾や細部装飾を備えている。草野家住宅は、九州地方北部における居蔵造の発展した形式を伝える大型の商家建築として重要である。また、主屋とともに江戸時時代に建築された土蔵も良好に保存されており、価値が高い。

 

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