岩尾家住宅
Iwao



 
登録有形文化財 (平成15年1月31日登録)
大分県日田市豆田町4-15
建築年代/大正後期
用途区分/商家(薬販売)
登録範囲/主屋・土蔵・離れ
公開状況/公開
九州地方の天領地を司った代官所のお膝元として、大いに繁栄を極めた日田の町にあって商人たちの町として名高いのが豆田町である。当家はその豆田町を南北に貫通するメインストリートに面して物見櫓風の三階をもった大規模な店舗住宅を構える豪家である。富裕な町家が多い日田の町にあって一際目に付く存在である。こうした奇抜な建物を構えたことは、この家が江戸期からの特権階級と結びついた旧家商人とは一線を画すものであったことと無縁ではあるまい。すなわち当家の商人としての成功は明治半ば頃からのことで、維新後の身分制度に囚われない、才覚次第で立身も叶った時代に生きたということである。丸薬に朱をかけた赤玉に「日本丸」という宣伝性の良い名称をつけることで販路を広げていくという如才の無さが、建物にも滲み出ていると云える。現在、この赤玉日本丸は原料の調達困難から製造は中止されており、建物も資料館として一般に公開されている。当時の広告手法の粋を見ることができて、なかなか面白い展示内容である。




 

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