井上家住宅
Inoue



 
登録有形文化財 (平成15年1月31日登録)
大分県日田市鶴河内町4279
建築年代/大正3年(主屋)
用途区分/庄屋・地主・酒造業
指定範囲/主屋・門・酒蔵・土蔵・米蔵・味噌蔵・納屋・石塀
公開状況/非公開
大きな屋敷である。数年前古い民家が比較的よく残されているこの地域に新たな出会いを求めて民家探しに訪れた際、偶然に出くわしたのが当家である。山間の静かな里には似つかわしくないほど立派な屋敷構えに圧倒され、呆然としてしまったあの日を今でもよく覚えている。今回晴れて文化財登録され、世に知られることとなった。天領・日田の町からは山をひとつ隔てた純農村にありながら、近在でも抜きん出た大地主である。その財力を背景に、当主は日田銀行の頭取を務めるなど地元経済界の盟主として君臨した。近在に「角の井」というお酒を造っている大きな屋敷があるが、こちらは分家筋に当たる井上家で、大正時代に発生した金融危機の際に辣腕を振るった大蔵大臣・井上準之助の生家として有名である。塀越しに覗く屋根の姿から純和風の建築を想像するが、意外に洋風の要素を取り入れた造りとなっており、地方における近代化の先駆的な建築ともいえる。




 

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